トモセラピーとは

トモセラピー

図1

高精度放射線治療とは

(日本放射線腫瘍学会より)

照射時と同一体位で撮影されたCT、MR、PET画像
をもとに病巣とリスク臓器の輪郭を3次元的に抽出し、
     病巣には高線量を集中させ
     リスク臓器には最小の線量
 となるように
治療計画案(線質・入射方向・照射野)を複数作成し、
最善の治療計画を選択して行うピンポイント照射

定位放射線治療 ( トモセラピー )

  細い放射線ビームを病巣に集中して照射する
  治療で、適切な固定具を使用して照射中心精度を
  3mm以内に保つことが条件とされるピンポイント照射

強度変調放射線治療 ( トモセラピー )

  コンピュータ最適化技術に基づいて決定され、病巣に
  対して入射する放射線束が不均一な線量強度を持つ、
  三次元原体照射法の発展した照射法

図13

トモセラピーの特長

強度変調放射線治療

  患者周囲を回転するMV-X線線源とリアルタイムで開閉する64列の多分割絞りの
  連動により、従来では不可能であった複雑な線量分布を実現し、周囲正常組織を
  守りながら病変部に高線量を集中させることが可能

定位放射線治療

  毎回MV-CTを撮影して病巣の位置確認を行い、ミリ単位の精度で局所に集中
  して高線量照射を繰り返す
  複数回の分割照射は定位放射線手術(1-3回照射)に比べ周囲正常組織への
  障害の危険性が少ない

寡分割1回大線量照射

  局所線量集中性と定位性が確保されているため、1回大線量照射が可能
  (従来2グレイ/回→3グレイ以上/回)
  放射線抵抗性の根治の難しいがんの根治を狙う治療
  治療期間の短縮が可能

Simultaneous Integrated Boost

  標的容積の線量に強弱をつける
  (原発巣と転移巣には70Gy、所属リンパ節領域には45-50Gy、リスク臓器は20Gy)

トモセラピー施行時の患者固定法

頭頚部

  ・頭頸部用シェルにて固定
  ・体幹部はBody Fixにて固定

胸部

  ・Body Fixにて患者固定
  ・呼吸抑制下にてlong time scan、吸気、呼気
   の3相の放射線治療計画用CTを撮影

腹部

  ・Body Fixにて患者固定
  ・吸気、呼気、long time scanの3相CTを撮影
  ・Image Fusion機能を用いて治療計画を作成

骨盤部

  ・Body Fixにて患者固定

図11

右上顎洞がん(扁平上皮がん)

89歳 女性 高齢であり、化療併用せず

図2

左中咽頭がん(扁平上皮がん)
左多発性頚部リンパ節転移

71歳 男性 同時放射線化学療法施行

図3

乳がん術後照射

図16

食道がん

膵体部がん

図14

肝細胞がん

81歳 男性 経肝動脈化学塞栓療法後

図7

多発性リンパ節転移へのピンポイント照射

図8

前立腺がん

・前立腺がんの局所制御率は線量に依存するが、直腸や膀胱等の
 周囲リスク臓器障害のため、従来法では根治線量投与が困難
・強度変調放射線治療とMVCTによる定位性の確保が実現され、
 正確なピンポイント照射と周囲正常組織への線量抑制が可能となり、
 前立腺局所へ70~80Gyの根治的高線量投与が可能となった

図9

トモセラピーの適応疾患

1) 根治的適応
         限局性前立腺がん     
         頭頸部がん
         ガンマナイフ適応のない原発性脳腫瘍、単発性脳転移
         他部位に再発・転移のない単発性骨転移

2)相対的適応
         原発性肺がん、食道がん、乳がん、肝がん、腎細胞がん、
         子宮がん、膀胱がん

3) 姑息的適応
         多発性転移性脳腫瘍
         多発性骨転移
         他部位に再発・転移のない3個までの多発性肺転移
         他部位に再発・転移のない3個までの多発性肝転移
         切除不能な局所進行膵がん
         直腸がんの局所再発     
             
4) 広範囲な照射野または照射すべき標的体積が凹凸不整形
         全脳全脊髄照射、全リンパ節照射、胸膜悪性中皮腫