近年様々な研究やデータなどから生命予後や合併症の予防に透析液の清浄化の必要性、重要性がクローズアップされてきています。加えて透析液だけでなく透析用水の果たす役割がとても重要になってきています。
そもそも透析液をきれいにするとどうなるのでしょうか。最近の研究では、実際にエンドトキシン(細胞が死ぬときに出す毒素)濃度20EU/Lの透析液をエンドトキシン濃度ゼロの透析液に変更すると、その他の透析条件が一定でも

●血清β2ミクログロブリン濃度の低下
●透析アミロイドーシスによる手根管症候群の発生が軽減される
●貧血の改善やエリスロポエチンの反応性が改善される
●低タンパク血症や栄養状態が改善される
●慢性炎症反応が改善される

など、様々な臨床的効果があることが示されています。

電気再生純水装置(EDI)の導入

電気再生純水装置(EDI)の導入

そこで当クリニックでは、2009年7月より透析用水を作るRO装置の更新を機にいち早く透析用水の更なる清浄化を目指して電気再生純水装置(EDI)を導入致しました。
まず、EDIについて簡単に説明いたします。EDIは、物理学的にも生物学的にもレベルの高い清浄化が期待できます。EDIに透析用水を流し、電気を流すことで連続的にイオン吸着と再生を繰り返し、安定した超純水[電気伝導率0.07μs/cm(理論純水=0.055μs/cm)]を製造することができます。超純水の中では、栄養が無いため細菌は生きられません。(更に電流密度を高くして中性撹乱現象を起こす事で、細菌やエンドトキシンをバラバラにし死滅させる事も可能です。)従って得られる水は生菌およびエンドトキシン濃度は、ゼロという事になります。患者様には、この水を使った透析液を供給しています。ダイアライザや透析モニタを変えた時のような目に見える変化が無いので、実感が湧かないと思いますが、始めに書いたような臨床効果が期待できます。
これからも患者様にとってより良い透析治療を行っていただけるよう、更なる透析液の清浄化を目指してまいります。