教育課程経営

 第5次カリキュラム改正でカリキュラム・ポリシーを次のように定めました。
 (1)地域で生活する人々と社会のつながりや、対象の多様なニーズを把握し、理解するために必要な知識・技術を学ぶ。さらに、社会を形づくる文化や制度と健康、環境に関与する理論など看護学の基礎となる科目を1~2年次に配置し、人間を統合的に理解する能力を身につける。
 (2)対象の健康課題の解決やニーズに合わせた看護を提供するために、看護学の観点から人体を系統立てて理解する科目を置き、健康・疾病・障害に関する観察力・判断力を強化している。1年次には情報のアセスメントの意義、目的、種類、基本的な系統別イグザミネーションを配置し、対象に応じた看護実践を学ぶ科目を2~3年次にかけて配置する。
 (3)知識や技術の統合を図り、多職種との関係を円滑に図るために必要な対人関係能力や倫理的に判断でき、看護専門職業人として必要な社会人基礎力を段階的に身につけていく臨地実習は、おもに2~3年次にかけて配置する。
 (4)将来にわたり看護を継続的に探究し、自己研鑽し続けるための基礎的能力の習得ができるように講義・演習・臨地実習を3年間にわたり系統的に配置する。
 令和4年度は、新型コロナウィルス感染拡大によって、精神看護学実習の一部学内実習に切り替えましたが、学生が対象者と関わる経験ができるよう、実習施設を変更すると同時に、リモートでの臨床講義の実施など学内実習の方法を工夫しながら行いました。
 本校の主たる実習施設である成田記念病院をはじめとした明陽会関連施設での実習は、統合実習の一部を学内実習とした以外、全て計画どおり実施できました。学生にとって直接目の前の看護の対象者を観察し、その情報を分析すると同時に、感じ、察し、コミュニケーションをとり、看護技術を提供するという学習の場は、臨地以外にはありません。実習施設におかれては、感染のリスクが高い患者様の安全確保と医療従事者の負担、実習生の安全を考えながら、貴重な学習の機会を提供して頂けたことに心から感謝申し上げます。
 教育課程運営については、毎月、カリキュラム会議で全ての臨地実習の計画、実施、評価を報告し、次年度に向けた改善について検討しています。更に令和4年度のカリキュラム会議では、各看護学方法論Ⅲの科目で使用する看護過程の教材について、生活を重視して家族を単位とした考え方に基づく学習ができるように検討しました。
 教科外課程においては、感性を豊かに、看護に関することに広く興味・関心を持ち、見聞を広めることができ、協調性を培えるように計画しています。教科外課程の目的を理解し、積極的に参加することによって学習の効果が上がるように学生に伝えていきます。
 看護専門職業人としての自覚を促す職業教育の特徴をもつ戴帽式は、今年度から継灯式になり、学生個人の目指す看護師像を発表するものとしました。
 新型コロナウィルス感染拡大防止対策のもと教科外課程の意義を踏まえ、実施できました。
 卒業時の学生による学習達成状況に関するアンケートでは、看護専門職として論理的・科学的に思考する能力や保健医療福祉チームの一員として多職種と連携する能力、法的・道徳的・倫理的視点で問題を捉える能力を養うことができたと回答しており、看護基礎教育の卒業時の姿として達成できていると考えます。