保健指導室だより Vol.1 2011.5


~メタボリックシンドロームって?~

メタボリックシンドローム、聞いたことはありますが、詳しくは???

 近年、「メタボリックシンドローム」という言葉は急速に広まり、“太っていればメタボ”と、
太っている人の代名詞のように使われることが多くなっています。お腹がでっぷりとせり出した
ような、中高年男性に多い「内臓脂肪型肥満」が健康的ではないこと、そして、『生活習慣を改善しましょう』
といった雰囲気が社会の中に芽生え始めていることは、私達の健康を考えるうえで、
大変大きな一歩であったと言えます。しかし、「メタボリックシンドローム」が、
太っているという見た目やお腹まわりの数値(腹囲)だけの問題ではないこと、
そして“メタボ”の状態があなたの体にとって深刻な問題であることを、これからはもっときちんと
知っておいてほしいのです。メタボリックシンドロームがどのようなことなのか?
そして、なぜ怖いのか?を今一度ご理解いただき、今後の健康管理にお役立ていただければと思います。

メタボリックシンドロームってどんな状態?

 糖尿病などの生活習慣病は、それぞれの病気が別々に進行するのではなく、
腸のまわりなどの内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満が大きく関わるものであることがわかってきました。
内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか 2つ以上をあわせもった状態を、
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)といいます。

 内臓脂肪が過剰にたまっていると、糖尿病や高血圧症、高脂血症といった生活習慣病を併発しやすく
なってしまうのです。しかも、「血糖値がちょっと高め」「血圧がちょっと高め」といった、
まだ病気とは診断されない予備群でも、併発することで、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化が急速に
進行させてしまいます。つまり、それぞれの病気の診断基準を満たさない”予備軍“や“軽症”の状態であっても、
それらが2つ3つと重なっている場合は動脈硬化の進行予防という観点から”既に手を打たなければならない状態
“として捉えることが、「メタボリックシンドローム」の考え方なのです。

肥満のタイプは2つ

 肥満には「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」があります。問題なのは内臓脂肪型肥満です。
肥満のタイプ

画像提供:(株)東日本技術研究所

内臓脂肪型肥満はなぜ怖いのか?

 メタボリックシンドロームは、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足という生活習慣の乱れから始まり、
肥満、特に“内臓脂肪”が蓄積して生じます。内臓のまわりに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」は、
食べ過ぎや運動不足などにより、大量の脂肪を含んで大型化した脂肪細胞が、お腹の臓器の間にある腸間膜などに
蓄積された状態です。腰まわりやお尻、太ももなどの下半身を中心にたまる“皮下脂肪”の脂肪細胞からは、
動脈硬化を抑制し、インスリン抵抗性を減少させる物質も分泌、つまり良い作用もありますが、“内臓脂肪”の
脂肪細胞から
はこれらの分泌が少なく、逆に高血圧や高血糖、脂質異常症(高脂血症)など、
動脈硬化のリスク(危険性)を高める複数の物質が多く分泌
されます。このため、「内臓脂肪型肥満」は、
高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)をもたらし、動脈硬化などのリスクを増大させる悪性の肥満で、
メタボリックシンドロームの主役とされているのです。

 メタボリックシンドロームは複数の異常が重なっているので、さぞかしいろいろな症状が現れるように
思われがちですが、たいていは自覚症状は少なく、血圧や血糖値、血清脂質(中性脂肪やコレステロール)
といった検査値も、それほど悪くないことが少なくありません。そのため、つい放置してしまいやすいのです。
しかし、メタボリックシンドロームの状態をそのままにしておくと、動脈硬化が年齢相応よりも速く進行します。

 “動脈硬化”とは、血管の壁が硬く変化するとともに、血管壁が厚くなり血液の流れが悪くなってしまう
病態
です。動脈硬化が進むと、血管の壁にコレステロールがたまったプラークという塊が破裂したりして血管を塞ぎ、
血流が途絶え、そこから先へ酸素や栄養が届かず細胞が死んでしまいます。これが心臓でおこると心筋梗塞
脳でおこると脳梗塞です。すなわち、動脈硬化はメタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満+高血糖・高血圧・
脂質異常)によって促進され、その結果、心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる病気が発症したり、
その後遺症で不自由な生活を強いられる危険性が高くなってしまうということなのです。

動脈硬化の血管

どう防ぐ?

 では、メタボリックシンドロームを予防・改善するには、どうしたらよいでしょうか。
メタボリックシンドロームの主な原因は、食べ過ぎや運動不足で蓄積した“内臓脂肪”です。
ですから、毎日の生活習慣を改善するという身近な方法で、まずは内臓脂肪を減らしていきましょう。
内臓脂肪は皮下脂肪に比べて蓄積されやすく、エネルギーを消費することで解消されやすいという特徴があり、
比較的、減らしやすいといわれています。すでに「高血圧」や「糖尿病」「脂質異常症」
などと診断されている場合には、もちろん、それらをしっかり治療していくことが大切です。

 内臓脂肪を減らすには、「運動によるエネルギー消費」と「食事減による摂取エネルギー抑制」の
両方をバランス良く
実行していくとよいでしょう。運動や日常生活の活動量を増加させれば消費カロリーが
増えるのだから、体重が減るのは当然だと考えるのは早計です。人とは因果な生き物で、
気持ちよく運動をすれば、お腹が空き、その分食べてしまうもの。結局、運動を頑張ったけれど、
体重はあまり減らなかったということはよくあることなのです。したがって、メタボリックシンドローム改善の
ためには、運動だけでなく食生活の改善が不可欠です。運動ばかりでは疲れて挫折してしまいますし、
食事のみの減量では、必要な栄養素を取りそこね、筋肉量が減少し、リバウンドの可能性を高めてしまいます。
「食事だけではダメ、運動だけではムリ」ということを頭に入れ、無理せず時間をかけて行いましょう。

 内臓脂肪は皮下脂肪と比べて、たまりやすく減りやすいという特徴があります。メタボリックシンドロームの
ベースとなっている内臓脂肪は、ためる原因となっている食べ過ぎや運動不足などの不健康な生活習慣を改善
することで減らせます。今日から内臓脂肪をためない生活習慣を心掛けましょう。

運動

”メタボ度をチェックしてみよう!”

メタボ度チェック

「はい」と答えた項目が多いほど、メタボリックシンドロームになりやすい
生活習慣を送っているといえます。

コラム

■メタボリックシンドローム ~豆知識 参考資料~

体内に脂肪が蓄積されるという事は 摂取エネルギ― > 消費エネルギー ということです。

まずは食品のカロリーを知りましょう!

食品のカロリー
お菓子のカロリー
摂取総エネルギー量

参考:厚生労働省ホームページ

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/metabo02/