保健指導室だより Vol.2 2011.9

9月9日は”救急の日”

厚生労働省と総務省消防庁は「救急の日」及び「救急医療週間」を指定し、地方公共団体、日本医師会、日本救急医学会及び全国消防長会と協力して、国民の皆様の正しい理解と認識を深めるための活動として、毎年共催事業を行っています。この機会に、一度”救急”について考えてみましょう。

救急車の適正利用で、救える命を救おう!

 近年、全国で救急車の出場件数が急増しています。消防庁によると、救急車を要請した人の約半数は、入院の必要のない軽症者でした。実際、以前に比べ救急車が現場に到着するまでの時間が長くなっており、このような状況では1分1秒を争う生命の危険にある傷病者への対応が遅れてしまう恐れがあります。

 救急車は、「病院へすぐに搬送しなければならない場合」や、「どうしても病院へ搬送する手段のない場合」に活用してください。救急車を本当に必要とする人がすぐに利用できるよう、1人でも多くの生命が助かるよう、救急車の適正利用について協力をしましょう。

①増える救急車の出場件数

 消防庁によると、搬送車の5割は軽症だったことが報告されています(表1参照)。通常、119番の出場要請を受けると、現場を管轄する最寄りの救急隊が出場します。一つの管轄で要請が重なった場合には、遠方にある別の救急隊が出場することになり、現場への到着が遅れてしまいます。出場要請が増えたことに加え、交通渋滞も深刻化しており、その結果、119番を受けてから救急車が現場に到着するまでの時間が遅れてしまいます。

搬送人員数

 急病や交通事故など医師の治療を受けなければ生命に危険が及び、迅速に搬送する適当な手段がない傷病者を、救急車は24時間いつでも安全に医療機関などへ搬送します。しかし、緊急事態にだれもが利用できる救急車の台数には、限りがあります。

全国と同様、豊橋市でも救急車の出場件数は増えています。平成22年中は約13,231件で、前年と比較し595件(4.7%)の増加です。平成20・21年は減少していましたが再び増加に転じました。1日あたり平均36件、救急車は呼ばれているという計算になります。
1回の救急車出場には、なんと約46,000円 の税金がかかっているのです。

2011.6.24 東愛知新聞記事より抜粋
参考:豊橋市ホームページ

②救急車を呼ぼうか迷ったときには、よく考えましょう

「自力で歩ける状態ではなかった」とか「生命の危険があると思った」と、適切に救急車を呼んだ方が多くを占めます。しかし中には、残念ながら、「風邪をひいた」「歯が痛む」「突き指をした」「首を寝違えた」といった軽い症状の場合や、「夜間・休日で診察時間外だった」、「どこの病院に行けばよいかわからなかった」、「救急車で病院に行ったほうが優先的に診てくれると思った」というような、救急車を呼ぶには不適切な理由も少なからずあるようです。

救急車に乗れば急患扱いで待たずに受診できる」という思い込み、「無料で病院を選んで運んでくれる」といった倫理観の欠如により、救急車を利用している方などがいるのも事実です。このままでは、本当に迅速な救急救命処置、医療機関への搬送が必要な重症患者のもとへ救急車の到着が遅れ、助かる命を救えなくなる可能性があります。救急車は、最善を尽くして現場に迅速に到着しようと努力しています。本当に救急車を呼ぶ必要があるのかどうかを考えてください。

急病人?

③民間の患者等搬送事業者や病院情報提供サービスを活用しましょう。

 緊急性がなく自分で病院に行ける場合や定期的な通院などでは、タクシー代わりに救急車を要請することは控え、一般の交通機関を利用しましょう。

 交通手段がない場合には、民間の患者等搬送事業者 (いわゆる「民間救急車」)を利用する方法があります。患者等搬送事業者は、転院や入退院時など緊急性のない患者などに対し、医療機関などへの搬送を有料で行う事業者で、各消防本部が認定しているものです。事業者ごとに利用料金が異なるので、直接各社にお問い合わせください。

 さらに、「夜間・休日で診察時間外のため、どこの病院に受診すればよいか分からない」場合には、お住まいの都道府県などが行っている病院情報提供サービス救急医療ガイド、市町村の広報紙およびホームページを活用し、受診できる医療機関の情報を得ましょう。全国の「消防テレホンサービス」も利用してください。

本当に必要なときに、本当に必要な人が救急車を利用できるように、協力が必要です。

救急車が来るまでに(応急手当)

 私たちは、いつ、どこで、突然のけがや病気におそわれるかわかりません。そんな時に、家庭や職場でできる手当てのことを応急手当といいます。病院に行くまでに応急手当をすることで、けがや病気の悪化を防ぐことができます。

応急手当

 けがや病気の中には、脳卒中のように意識がなくなって、呼吸ができなくなり、ついには心臓が止まってしまうものや、プールで溺れたり、喉にお餅をつまらせたときのように、呼吸ができなくなって心臓が止まってしまうもの、心筋梗塞や不整脈のように心臓が突然止まってしまうもの、大けがをして大出血でショックになり心臓が止まってしまうものなどがあります。
 このようなときには、救急車がくるまでに何らかの処置をしないと命は助かりません。いざという時のために応急手当を身につけておきましょう。今ではAED(自動体外式除細動器)が設置されている施設も増えています。その使用法を指導してくれるところも多いようです。

 あわてず正しく応急手当が行えるよう、各自治体等で定期的に救命講習を開催しています。また、職場・学校・地域などでの講習会についても指導員を派遣している場合もありますので確認しておくとよいでしょう。ぜひ、問い合わせてみてください。
AED設置施設

 こどもに関する救急は「こどもの救急」を参考にして下さい。
 http://kodomo-qq.jp
こどもの救急

参考

◆総務省消防庁ホームページ
 http://www.fdma.go.jp/html/new/kyukyu_riyou.html

     応急手当の基礎知識 http://www.fdma.go.jp/html/life/pdf/oukyu1.pdf
     救命処置 http://www.fdma.go.jp/html/life/pdf/oukyu2.pdf

◆豊橋市ホームページ (消防本部消防救急課のページをご参照ください)
 http://www.city.toyohashi.aichi.jp/

 ※化学物質(タバコ・家庭用品など)、医薬品、動植物の毒などによって起こる
 急性の中毒についての情報は財団法人日本中毒情報センター
 ホームページ http://www.j-poison-ic.or.jp
 大阪中毒110番  072-727-2499 365日 24時間対応
 つくば中毒110番 029-852-9999 365日 9時~21時のみ対応
 タバコ専用電話  072-726-9922 365日 24時間対応 (テープによる情報提供)