保健指導室だより Vol.6 2012.3

毎年2月は”生活習慣病予防週間”です。

生活習慣病予防月間今年の強化テーマは「少酒~アルコールと健康生活」

今や、誰もがご存知の『生活習慣病』。ところが、かかっていても、自覚症状がほとんどなく、放置されがちな『生活習慣病』自覚症状が出る前に予防!生活習慣病予防に対する、国民の皆さんの意識向上と、健康寿命(日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間のこと※)の伸長を目指して毎年2月を生活習慣病予防月間と定めています。
※2004年のWHO保健レポートでは、日本人の健康寿命は男性で72.3歳、女性で77.7歳、全体で75.0歳であり、世界第一位です。

今年の強化テーマは健康標語『一無・二少・三多』から『少酒』とし、「アルコールと健康生活」です。

全国生活習慣病予防週間スローガン2012 最優秀賞

一無・二少・三多 ~いちむ にしょう さんた~ って?

優秀賞
一無(いちむ)とは、【禁煙の勧め】です。「タバコの三悪」とはタバコによって運び込まれるニコチン、タール、一酸化炭素です。
ニコチンは、糖代謝や脂質代謝に異常を引き起こし、糖尿病や脂質異常症などのリスク(危険性)を高めます。また、中枢神経系の興奮と抑制が生じ、心臓血管系への急性影響をもたらします。
タールには、さまざまな発がん物質、発がん促進物質、その他の有害物質が含まれています。
一酸化炭素は、有毒物質です。赤血球のヘモグロビンと強力に結びついて一酸化炭素ヘモグロビンを形成し、血液の酸素運搬機能を妨げます。これを補助するために赤血球が増えた状態(多血症)になり、血液をドロドロにして血栓を作ってしまいます。

二少(にしょう)は【少食・少酒の勧め】です。

二少

昔から「腹八分に医者いらず」と言われていたように、暴飲暴食を控えることは、身体の機能を、健康な状態に維持していくうえで大変重要です。最も望ましい組み合わせは、主食と一汁三菜、それに果物、乳製品と言われています。よく噛んで、三食を規則正しく食べ、偏食をしないことが重要です。
 また、アルコールは様々な生活習慣病に密接に関わっていて、大酒すれば、多くの疾病が誘発される可能性も高まります。「百薬の長とはいえど、万の病は酒こそおこれ」という言葉もあるとおり、飲める人でも、一日の適量は、アルコール20g(日本酒に換算して一合程度)と言われています。

三多(さんた)【体を多く動かし(多動)、しっかり休養を取る(多休)、多くの人、事、物に接する(多接) 生活の勧め】です。

三多

出典:日本生活習慣病予防協会 全国生活習慣病予防月間のおしらせホームページ
http://www.seikatsusyukanbyo.com/monthly/

ご存知ですか? ロコモティブシンドローム

あなたのロコモ度は?チェックしてみましょう!
■一つでも当てはまれば、あなたは、“ロコモ“の心配があります■

7つのロコチェック

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また、できるだけ早めに専門医(整形外科)を受診、相談しましょう。

ロコモティブシンドロームとは?

ロコモティブシンドロームとは、運動器症候群(locomotivesyndrome)のことです。
 運動器とは、骨・筋肉・関節・神経を指します。略して“ロコモ“
 「内臓系の健康の維持」と、「運動器の健康維持」両方ができたうえで、「元気で長生きしたい」
日本整形外科学会が、2007年(平成19年)に、新たに提唱しました。変形性関節症と、骨粗しょう症に限っても、推計患者数は4700万人(男性2100万人、女性2600万人)です。
まさしく“ロコモ”は国民病といえるでしょう。(吉村典子2009年)
 “ロコモ”の提唱には、「人間は運動器に支えられて生きている。運動器の健康には、医学的評価と対策が重要であるということを日々意識してほしい」というメッセージが込められています。

原因疾患
数字で表すロコモ
 2007年、日本は65歳以上の高齢者が22%になり、世界に先駆けて、超高齢化社会を迎えています。それに伴って、支援介護を必要とする人も、2002年から2006年までに1.7倍と急増し、440万人を超えています。
 75歳以上の高齢者での寝たきり、介護の主な原因は運動器疾患が21.5%(転倒、骨折9.3%、関節疾患12.2%)を占めています(2007年)。今後さらに高齢化が進むことを考えますと、運動器疾患に対して、有効な手立てを論ずることが緊要の課題であると思います。(中村耕三ら2009年)

ロコモの三大要因

三大要因

ロコモ対策の意義は・・・
 高齢者の運動器障害は、複数の病態が複合・連鎖するので、運動器の障害を移動能力に注目して、総合的に考えようというのが、“ロコモ”の意義です。

ロコモティブシンドロームの仕組み

メタボとロコモの比較

※この2つの共通の対処法は生活習慣の改善と運動

※生活習慣病でも痛みが伴うもの、ロコモでも痛みのないものもあります。

例えば、骨折で寝たきりにならないための秘訣

“ロコモ”の三大要因の一つ、骨粗しょう症。聞いたことがあるのではないでしょうか?その原因には、年齢や性別、遺伝的な体質など、変えることのできない要素があります。一方で、食生活や運動などの生活習慣を変えることで改善できる要素もあります。ポイントは食生活と運動です。

食生活のポイント… 乳製品や小魚・納豆をうまく取り入れて

カルシウム・ビタミンが豊富な食材
 骨粗しょう症の予防に特に重要なのはカルシウムの摂取ですが、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨が作られるのを助けるビタミンK、 さらに、タンパク質、ミネラルなどさまざまな栄養素を摂取することも大切です。

カルシウムの摂取には乳製品や小魚などを食卓にうまく取り入れるように工夫をしたり、市販のサプリメントなどを利用すると良いでしょう。ビタミンK2※が豊富に含まれている納豆も、骨粗しょう症の予防に取り入れたい食品です。

また、ダイエットなどでやせすぎたり、体重が軽い人は骨が弱い傾向にあります。骨粗しょう症の予防には、標準的な体重を保つことも重要です。

※ビタミンKには、緑色の野菜などに含まれるビタミンK1と、納豆などに含まれるビタミンK2があります。
※血を固まりにくくする薬を服用中の方は、ビタミンKを摂りすぎると薬が効きにくくなりますので、かかりつけの医師に相談してください。

適度な運動を習慣に… 日光を浴びてウォーキング

日光の下でウォーキングなどの運動を毎日続けましょう。骨に適度な圧力が加わり、骨が強くなります。 また、運動を続けると血液の流れが良くなるので、骨を作る細胞のはたらきが活発になります。 筋肉もきたえられ、身のこなしが良くなると、転びにくくなり、骨折の防止にもつながります。 ただし、自分に合った運動を心がけ、無理をしないようにしましょう。

1日30分程度、適度に日光に当たるようにすると、骨の吸収を良くするビタミンDが活性化され、強い骨を作るのに役立ちます。

タバコやお酒も控えましょう… 思い切って禁煙!

喫煙は、胃腸のはたらきを抑え、カルシウムの吸収を妨げます。特に女性の喫煙は女性ホルモンの分泌を減少させるので、やめるのが望ましいでしょう。

お酒には利尿作用があるため、飲みすぎると必要なカルシウムまで排泄されてしまいます。そのうえ、腸からのカルシウムの吸収も妨げてしまいます。

転倒による骨折を防ぎましょう… 家の中を整理整頓

ちょっとした転倒が、骨折につながることがあります。意外と多いのは、慣れていると思っている家の中での転倒です。 年齢とともに歩くときに足が上がらなくなり、ちょっとした段差や、じゅうたんのへりにつまづいて転んでしまうことがあります。

まずは家の中を整理整頓しましょう。その他、服用中の薬が原因でふらついてしまうことや、歩きにくい服装も転倒の原因として考えられます。