保健指導室だより Vol.9 2013.1

新たな年、あなたの健康の目標は何ですか?

昨年はどんな年だったでしょうか?
今年はどんな年にしたいですか?
 
カラダの健康に関しては、昨年の健診(人間ドック)の結果、覚えていますか?
体重は?腹囲は?血液検査結果は?
要注意項目があった方は、今年は少しでも改善できるように、対策を考え、実践できると良いですね。
 
日本人の死因で、上位を占める心疾患や脳血管疾患は動脈硬化が原因です。
その動脈硬化の原因でもあり、症状でもある高血圧。
今回は、高血圧にフォーカスします。

高血圧って、どんな状態?

血液は、生命を維持していくために不可欠な酸素や栄養を体の各部分に運搬し、老廃物や炭酸ガスを除去する役割を果たしています。血液を循環させる原動力は心臓で、送り出された血液は、カラダのすみずみまで流れていきます。

血圧とは心臓から送り出された血液が
動脈の内壁を押す力
の事です。

動脈の血圧が心臓の収縮により最高に達した時を
最高血圧または収縮期血圧
心臓の拡張により最低に達した時を
最低血圧または拡張期血圧」と言います。


 心臓はドキドキと、収縮と拡張を繰り返し、大動脈を通じて全身のすみずみに血液を送り出しています。この時、血液が心臓から勢い良く流れ出て血管の壁にかかる圧力が血圧です。血液を送り出す心臓の働きが落ちれば血圧は下がるし、血管が細くなったり弾力性を失えば上がります。
血圧は、心臓や血管の健康を測る重要な指標です。


 
 
 

水圧と比べると!

 健診や受診で病院に行き、血圧を測った時に「ちょっと高いですね」と言われた事はありませんか?そういうことがあっても、自分では何とも(自覚症状)ないし、普段は高いと言われたことはない、家で測れば正常、と言うあなた。血圧の「圧」ってどういうものか、考えてみましょう。

高血圧だとどうして良くないのか?

高血圧だとどうして良くないのか?

出典:国立保健医療科学院

上腕で測定した収縮期血圧が180㎜Hgの人、120㎜Hgの人、違っていても、毛細血管の圧を一定にする仕事をしている細動脈が、重要な血管です。

(1)細動脈のまわりには神経がとりまいており、血圧の調節をしています。
(2)ホルモンも細動脈へ働きかけ、血液量の調整をします。(腎臓の仕事量と関連しながら)

※細動脈への圧が高いと血管がふくらんだり、キズついたりして、動脈瘤ができて血管が傷んできます。特に高血圧に弱いのが脳の血管です。細胞まで血液が届くための圧は必要です。でも、それ以上あると血管を傷めます。

 水道水のホースをイメージしてみてください。ホースの先を細めると、すごい勢いで、水が出ます。血圧が高いということは、心臓が血液を送り出す(脈を打つ)たびに、その勢いが血管の中で起こっているのです。
 正常血圧である拡張期120mmHgでも1m63cmも吹き上げているのですが、拡張期血圧が180mmHgとすると、2m45cmも吹き上がる強さで、血管の内膜に圧力がかかっているのです!
わかりやすいのは水道水のイメージ → こちらもご覧ください

血圧の変動について

下のイラストの様に、1日の中でも血圧は常に変動、一定のリズムであることもわかっています。

血圧日内変動
の基本的なリズムは、「起床前~起床後に血圧が上がる」→「夕方から夜にかけて血圧が下がる」→「睡眠中の血圧が最も低くなる」のカーブをたどります。毎日、この血圧日内変動が繰り返されます。肉体的活動や精神的な要因や身体を取り巻く環境などによって、一時的に血圧が上がることもあれば、下がることもあります。





暖かい時、リラックスしている時は血圧は低く、寒い時、活動している時やストレスがある時、食事の直後や入浴の直後でも血圧が高くなりやすいです。

肉体労働・運動・歩行・食事などで血圧は上がり、睡眠中や排尿などで血圧は下がります。

精神的な興奮やストレスなども血圧を変動させる要因になります。

この血圧日内変動には自律神経が大きく関係していると考えられています。
また、血管が硬くなって弾力性を失った動脈硬化の状態では、血圧の変動は大きくなります。

診察室血圧と家庭血圧・白衣高血圧・仮面高血圧について

高血圧の人に限らず一般の人でも、病院や診療所で測ると、家庭よりも高い数値が出ることが多いことがわかっています。家庭ではリラックスして測定できますが、病院や健診では緊張して、血圧値が上がってしまうのです。診察室で測定した血圧は「診察室血圧」または「随時血圧」と呼ばれ、家庭で測る「家庭血圧」に比べると、収縮期血圧で20~30mmHg、拡張期血圧で10mmHgも高くなる場合もあります。

日本高血圧学会では、家庭血圧が135/85mmHg以上を高血圧とし、125/80mmHg未満を正常血圧の基準として採用しています。診察室血圧が、140/90mmHg以上で高血圧、家庭血圧が135/85mmHg未満で高血圧でない場合、「白衣高血圧」と呼ばれます。家庭血圧が高血圧で、診察室血圧が高血圧でない場合、「仮面高血圧」または「逆白衣高血圧」と呼ばれます。白衣高血圧は積極的に治療せず、経過を見る場合が多いですが、仮面高血圧、中でも「早朝高血圧」は注意が必要です。心血管系の病気になるリスクが高いので、治療が必要となります。仮面高血圧は、仕事や家庭などで精神的ストレスを抱えている方、ヘビースモーカーなどでみられることが多いので、心当たりのある方は診察室血圧と家庭血圧の数値を比べてみるとよいでしょう。やや緊張した診察室での血圧は少し高めの方がほとんどです。

日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009」より

高血圧を改善するには?

高血圧症は典型的な生活習慣病です。
要因となるのは食事や運動。
予防するには、まず、食生活を見直し、運動不足を解消しましょう!

 高血圧を予防する方法として代表的なものは食事に気を付けることと運動を取り入れることです。中でも最も効果があるとされているのが食事による予防です。ポイントは塩分控えめ・適度な運動(有酸素運動がおススメ)・適度な飲酒・禁煙。詳しくは厚生労働省ホームページもご参照ください。

トピックス

近年注目されている「DASH食」というのを聞いたことがありますか?
DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食とは、 アメリカで調査・研究された「血圧を上げない為の食事」です。具体的には、
増やす成分:カリウム、マグネシウム、カルシウム、たんぱく質、食物繊維
減らす成分:コレステロールと飽和脂肪酸
です。
 当然ながらアメリカと日本では食文化の違いがあるわけですが、食生活が基本的に高脂肪や高カロリーになりがちな点は共通しているので、日本人への有効性も指摘されています。特に、食塩摂取量が多い日本人は、減塩とDASH食を組み合わせた食事療法を行うことによって、血圧を下げる効果が高まります。DASH食の特徴は、特定の栄養素やその比率にこだわらず、食品の組み合わせを改善することで、血圧をコントロールする点です。「今より、体に良い食品を増やし、よくない食品を減らす」のが、DASH食の実践法となります。色の濃い野菜と果物を増やし、肉や脂肪分を減らす。また、魚類を積極的に摂取し、魚油に含まれる不飽和脂肪酸による降圧効果も取り入れています。

 食べ過ぎ・飲み過ぎを見直し、肥満を解消することが大切です。特に夜間は、私たちの体は消費エネルギーが減り、脂肪を蓄積しやすい状態になるので、注意が必要です。

 日本人の食生活は、高塩分になるので、今現在の食生活から「減らす」・「増やす」 を行うだけなので、簡単に始められると思います。
 ただ、腎機能に障害がある人、糖尿病の人、合併症がある人などは、そのままの食事療法・DASH食はあてはまりません。主治医や管理栄養士に相談して、その指示をしっかり守って、食事療法を進めてください。

参考:【高血圧症状

今月のほっとな人

 当センターでは、健診や人間ドック後のフォローで有料の「3ヶ月コース」として、健康的な生活習慣の獲得(ダイエット支援・体力づくり)を支援しています。
 そこに参加したAさん(女性)。年々体重が増加。それに伴い、血糖値も上昇!「治療が必要」という判定になり、受診して内服薬が開始となりました。でも何とか治したい!・・・
と、このコースにお申込みされました。不規則な勤務なので、満腹だけどすぐに寝てしまう。また、甘い物に目がないAさんは、「頑張っている自分へのご褒美」と、休日はついついスイーツを食べてストレス解消・・・という日々を振り返り、改めました。素敵なシューズを買ってウォーキングがてら歩いて通勤。休日はスイーツのおやつを半分に減らし、口が渇いても炭酸の飲み物・ジュースではなく水かお茶に。時々お会いすると「頑張ってますよ!」と素敵な笑顔で状況をお話し、してくれました。そして3ヶ月後・・なんと3ヶ月で約5kgの減量に成功!!

空腹時血糖値も↓、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)も↓。
 でもまだ目標体重には、届きません。食事については引き続き実行。これからもマイペースで継続していくとのことです。今度は運動!改めて「運動コース」に申込みされ、頑張ることを決められました。
 Aさん、目標に向かってますます素敵になれるよう、頑張ってくださいね。私たちも応援しています。