医師

診療内容

★ はじめに

肥満症は「本人の努力不足」というスティグマ(偏見)がありますが、体形・食欲などには遺伝や体質が大きく関係しています。
成田記念病院では、肥満でお困りの方のお役に立てるように医療スタッフによるチーム医療を提供しています。お悩みの方で治療を希望される場合はお気軽にご相談下さい。

★ 肥満症とは

身長と体重のバランスを示す指数BMIが25 kg/m2以上の方は肥満であるとされていますが、これだけでは病的であると判断されず、医療上の治療の対象とはなりません。日本肥満学会ではBMI 25 kg/m2以上かつ肥満に関連する疾患を抱えている方を「肥満症」と定義し、治療の対象であるとしています。

★ 肥満症治療の対象となる方

当院では、BMI 27 kg/m2以上で規定された肥満に関連する健康障害を抱える方(詳細は表1(PDF)をご参照下さい)に対し、GLP-1受容体作動薬の投与および栄養指導・療養指導などのカウンセリングを実施して減量を目指す保険診療を提供致します。

また、上記の保険診療が受けられない、日本肥満学会定義の「肥満症」の方に対し、自費診療も実施しております。但し、当院では「肥満症以外」の方による不適切なGLP-1受容体の使用については安全上・医療倫理上の問題があると捉えており、自費診療であっても治療をお断りしておりますので、予めご承知下さい。

★ 治療のながれ・治療期間について(保険診療の場合)

初診時に病歴確認・問診・検査などを実施し、肥満に関連する健康障害の確認および二次性肥満症の除外を実施します。二次性肥満症とは肥満になる根本的な原因疾患がある状態を指すことから、その治療を行うことで改善の見込みがあるため、後述の治療を行わずにその病気の精査・診断・治療を優先させます。

二次性肥満症が除外され、保険適応の治療が確認できましたら、ご本人とご相談の上で目標体重を設定し、外来で定期的な栄養指導と診察を行っていきます。6か月継続しても目標体重まで減量できなかった場合、GLP-1受容体作動薬の投与を開始します。

GLP-1受容体作動薬で肥満治療として保険適応で使用できるのはセマグルチド(商品名:ウゴービ(糖尿病薬オゼンピックと同一内容))チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド(糖尿病薬マンジャロと同一内容))になります。ご本人と相談の上で使用する薬剤を決め、副作用の出現を確認しながら投与実施し、標準投与量まで増量します。ご本人の状態によっては、投与量を標準投与量より減量したまま投与したり、標準投与量より更に増量したりすることがあります。

ウゴービ・ゼップバウンドとも、投与上限期間(68~72週)が定められており、それまでに投与終了できるように診療を行っていきます。目標まで減量できた場合はそれで治療は終了となります。投与期間上限以後体重がリバウンドした場合は、6か月の栄養指導実施後に再度72週を上限に投与可能です。

★ 治療のながれ・治療期間について(自費診療の場合)

初診時に病歴確認・問診・検査などを実施し、肥満に関連する健康障害の確認および二次性肥満症の除外を実施します。任意の時点でGLP-1受容体作動薬を開始します。治療中は副作用の確認・栄養指導・運動指導・カウンセリング等を実施していきます。

保険診療と違い投与期間上限はありません。目標体重まで減量できた場合、リバウンドに留意しつつ投与量減量~投薬中止していきます。

★ 費用(自費診療の場合)

医科保険診療・薬価に準拠した初診料・再診料・外来栄養食事指導料・自己注射管理料・院外処方箋料または院外調剤報酬等の管理指導料および薬剤費等を頂きます(表2(PDF)を参照下さい)。保険診療適応の場合は、表記の概ね約3割の負担となります。

★ 主なリスク・副作用

食欲抑制作用が想定よりも強く出ることで嘔気・嘔吐が生じたり、腸に作用するため腹痛・下痢・便秘などの消化器症状がみられたりすることがあります。また、薬を増量すると副作用が出現しやすくなります。当院では毎月の診察で副作用の出現につき注意深くフォローいたします。

★ (自費診療の場合) 承認とは異なる目的での使用に際しての注意点

当院では副作用に留意しつつ慎重に診療を進めていきますが、承認要件以外でGLP-1受容体作動薬を用いることにより万一重篤な副作用が発生した場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となりますのでご留意ください。

★Q & A(質問をクリックして下さい)

Q.誰でも治療を受けられますか?

当院の肥満専門外来における薬物治療対象者は、肥満症の方(BMI 25以上で肥満に関連する健康障害を合併している方)に限ります。非肥満症の方のダイエット目的の治療はお断りしております。

Q.肥満に関連する健康障害とは具体的には何ですか?

肥満症診療ガイドライン2022で示されている、「肥満症の診断に必要な健康障害」が該当します。具体的には、(1)耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など) (2)脂質異常症 (3)高血圧症 (4)高尿酸血症・痛風 (5)冠動脈疾患 (6)脳梗塞・一過性脳虚血発作 (7)非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝など) (8)月経異常・女性不妊 (9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群 (10) 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指 関節,変形性脊椎症) (11)肥満関連腎臓病 が挙げられます。

初診時に問診・検査・診察を行い、肥満に関連する健康障害の有無につき、確認させていただきます。

Q.保険診療で受けられる場合も、自由診療を受けられますか?

保険診療の場合、6か月間の栄養指導を受けなければGLP-1受容体作動薬を開始できず、かつ投与期間68~72週上限の制限がかかります。自由診療の場合はこれらの制限はありません。保険診療が受けられる条件の方でも、希望される場合は自由診療で実施可能です。
保険適用を受けられる条件に当てはまる方に対しては、薬物治療開始前に説明を行い、保険診療で行うか自由診療を行うか選べるように配慮致します。

Q.当院で他の病気について保険診療で受診中ですが、肥満専門外来の自由診療を受けることは可能ですか?

可能ですが、当院の肥満専門外来を自由診療で受けられる方については、肥満専門外来診療と同じ日に他の病気に関する保険診療扱いの診療・検査・処方を受けることはできません。必ずそれぞれ別の日に受診する必要がありますので、ご了解下さい。当院で自由診療扱いで肥満診療を受ける方で、他の疾患について保険適応で受けたい場合は、状況に応じて保険診療内容部分について他院への通院をお勧めさせていただくこともあります。

Q.具体的にどの薬剤を使用しますか?

GLP-1受容体作動薬のうち、一部限定的された肥満症の適用が認可されているチルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)及びセマグルチド(商品名:ウゴービ)を主に使用します。なお、商品名称は異なりますが、マンジャロはゼップバウンドと中身は全く同等の薬剤となります。同様に、オゼンピックはウゴービと中身は全く同等の薬剤となります。

Q.副作用が心配なのですが・・・

食欲抑制作用が想定よりも強く出ることで嘔気・嘔吐が生じたり、腸に作用するため腹痛・下痢・便秘などの消化器症状がみられたりすることがあります。また、薬を増量すると副作用が出現しやすくなります。当院では毎月の診察で副作用の出現につき注意深くフォローいたします。

Q.費用はいくらかかりますか?/費用が心配です

費用につきましては、表2(PDF)を参照下さい。注射開始時/投与増量時は都度説明した上で、ご判断いただきます。理由を問わず薬物治療の中断はいつでも可能ですので、診療時に遠慮なくお申し出下さい。

Q.医療費控除は使えますか?

当治療は医療費控除の対象となります。確定申告を行うことにより、所得税減税の適用が可能です。詳細につきましては、税理士にご確認下さい。

Q.薬だけもらえませんか?

当院では、医療安全の確保・治療効果の達成率向上・治療効果の持続・リバウンド防止などの観点から、療養指導による心理面の配慮・栄養指導による生活習慣の是正についても重視しておりますので、薬の処方だけ行っていく希望には応じておりません。

Q.ずっと治療が必要になりますか?

投薬治療開始前に、目標体重を立てて頂きます。その目標を達成~維持できるようになりましたら、リバウンドを起こさないように配慮しつつ投薬を中止していきます。ずっと薬物治療を継続し続けることを前提とはしておりません。

外来診療表

 
午後

濱野
1:30~3:00

濱野
3:30~4:30

休診 休診 休診