臨床指標(クリニカル・インディケーター)

臨床指標とは、医療の質を定量的に評価する指標のことです。医療の過程や結果から課題や改善点を見つけ出すことで医療の質の向上を目的とするものです。クリニカルインディケーターと呼ばれています。
当院では、病院基本情報や医療を支える領域から指標を提示できる項目として、厚生労働省の「平成22年度医療の質に関する評価・公表等推進事業」に参加した日本病院会の指標を基準にしています。
独自の指標も含め、今後は経年変化を分析・解析することで算出した問題点や修正点を抽出し改善を行うことで更なる医療の質の向上に努めてまいります。
PDCAサイクルを用いて問題点・修正点を改善しています。サイクルが回れば回るほど医療の質の向上に繋がります。

医療の質に関する指標

患者満足度(外来・入院)

この指標は、令和4年12月に当院で実施した患者満足度調査において、「親しい方に、この病院を勧めたい」という設問に対し、5段階評価(満足、やや満足、どちらでもない、やや不満、不満)の回答した人の割合です。
当院が提供する患者サービスの質を測る指標として、患者さんからのアンケートによる患者満足度を注視しています。寄せられたご意見は、質の高い安全・安心な医療サービスの提供のために活用しています。

分子:患者満足度調査において、「親しい方に、この病院を勧めたい」という設問に対し、5段階評価中
   上位2つの評価に該当する回答をした外来患者数、入院患者数
分母:患者満足度調査に回答した外来(入院)患者数

外来(5段階評価の上位2つ:満足、やや満足)

日本病院会 QIプロジェクト臨床指標の総合評価平均値は、2020年度:84.9%、2021年度:83.6%です。

【考察】
・毎日の患者さんの流れを調査可能なシステムを作成し定期的な待ち時間調査を実施可能にしました。初診または再診、予約外の受付時間、中待合に呼び入れた時間、診察開始時間・終了時間会計受付時間、会計番号表示時間、お薬がある患者さんには、お薬番号表示時間と一連の時間を調査できるようにしました。
・診察までの待ち時間の対応として、メールアドレスを登録していただくことで携帯電話やスマートフォンで確認でき院内にいなくても、順番が来るタイミングに、メールでお知らせするシステムを導入します。
また診察日前日のお昼頃に、診察日をお知らせする機能も含んでいます。(6月から7月開始予定)

入院(5段階評価の上位2つ:満足、やや満足)

日本病院会 QIプロジェクト臨床指標の総合評価平均値は、2020年度:90.6%、2021年度:90.1%です。

【考察】
・入院患者さんの満足度は平均値より低いものの一定の満足度は得られていますが、さらに満足を得られる環境を構築していきます。
・院内無線WiFiを導入し入院中の患者さんや外来診察の待ち時間に利用できます。これからも患者さんが満足いく医療を目指して参ります。

入院患者の転倒・転落発生率

入院中は、入院生活という生活環境の変化によるものや、病気そのもの、治療・手術・薬剤などの影響により、自宅にいる時以上に転倒・転落のリスクが高くなります。転倒・転落は骨折などの怪我に結びつく危険性が高く、病状の回復の遅れや日常生活の動作に支障が出るなど、患者さんの生活の質に大きな影響を及ぼします。
転倒・転落を100%防止することは難しい現状ですが、発生件数や事例を追跡し分析を行うことで、転倒・転落による損傷の低減に役立てています。

分子:医療安全管理室へインシデントレポートが提出された転倒・転落件数
分母:入院延べ患者数


日本病院会 QIプロジェクト臨床指標の転倒転落発生率平均値は、2020年度:2.82%、2021年度:2.82%です。
【考察】
・転倒発生率は、全国平均値より高く、2022年度はより高い結果となりました。

入院患者の転倒・転落による損傷発生率

入院患者の転倒・転落による損傷発生率(レベル2以上・レベル4以上)

分子:医療安全管理室へインシデントレポートが提出された転倒・転落件数のうち
   損傷レベル2以上または4以上の転倒・転落件数
分母:入院延べ患者数


日本病院会 QIプロジェクト臨床指標の損傷レベル2以上の発生率平均値は、2020年度:0.76%、2021年度:0.84%です。
日本病院会 QIプロジェクト臨床指標の損傷レベル4以上の発生率平均値は、2020年度:0.06%、2021年度:0.06%です。

【考察】
・損傷率では、2022年度はレベル2以上は高いが、レベル4以上は2021年度より
低い結果となり、転倒は多いが、アクシデントに至らないような対応ができている結果です。

インシデント・アクシデント発生率


【考察】
・インシデント・アクシデント報告数は、2022年度はそれまでと比べて報告数が上がっています。
 安全への意識が高まってきたといえます。
・医師の報告も増加傾向にあり、10%までは遠いが医師への働きかけを継続していきます。

褥瘡発生率

この指標は、d2(真皮までの損傷)以上の院内新規褥瘡発生患者数から、同日入退院患者または褥瘡持込患者または調査月間以前の院内新規褥瘡発生患者を除く、入院患者延べ数(人日)を割った値です。

・褥瘡とは、長期間寝ていたり車椅子を利用している場合に、同じ部位に体圧が長時間加わることにより、その部位の血行が悪くなり、皮膚・皮下組織が傷害されることで、その発生率は患者看護の質を測る重要な評価指標の1つです。
痛みなどの知覚が低下した場合に発生しやすくなりますが、それに加えて、栄養状態、関節の変形、運動能力の低下といった様々な要因が絡みあって悪化するため、褥瘡ケアに関して専門的な知識を持ったスタッフによる看護体制をとることが重要になってきます。

分子:調査期間における分母対象患者のうち、d2以上の褥瘡の院内新規発生患者数
分母:入院延べ患者数(同日入退院患者除く)
除外:日帰り入院患者の入院日数(同日入退院患者も含む)
   入院時すでに褥瘡保有が記録されていた患者の入院日数
   調査期間より前に褥瘡の院内発生が確認され、継続して入院している患者の入院日数


日本病院会 QIプロジェクト臨床指標のd2以上の褥瘡発生率平均値は、2020年度:0.11%、2021年度:0.14%です。

【考察】
前年度の7月より褥瘡の評価の見直しを行うことにより評価件数が高く看護師の観察の視点も高まったと言えます。d2以上が一定数いることから褥瘡予防へのケアを再検討していく必要があると考えます。

血液培養実施時の2セット実施率


【考察】
・血液培養の実施は、1 セットのみの偽陽性による過剰治療を防ぐため、2 セット以上行うことが推奨されています。当院は毎年上昇傾向にあります。

退院後4週間以内の再入院率

入院生活は通常と異なる不便さがあります。仕事を長期間離れなくてはならないなど、日常生活に及ぼす影響も少なくありません。入院期間はできるだけ短いことが望ましいこととなります。
一方で退院できたものの、経過観察等の予定されたものではない予定外の再入院をすることになっては、一旦退院できたとしてもかえって入院期間が長引いたり、治療費の負担が増えてしまいます。
このようなことから退院後の一定期間後に再入院がどの程度あったのかを把握することは、在院日数の短縮とあいまって、医療の質を表す基本的な指標であるといえます。
計画的再入院
分子:退院症例数のうち、前回退院から 4 週間以内に計画的再入院した症例
分母:退院症例数

計画外再入院
分子:退院症例数のうち、前回退院から 4 週間以内に計画外で再入院した症例
分母:退院症例数


日本病院会 QIプロジェクト臨床指標の30日以内の予定外再入院率平均値は、2020年度:2.2%、2021年度:2.2%です。

【考察】
・退院後に予定外の再入院要因は一概には言えませんが、前回の入院とは関連のない傷病・事故などが考えられます。

死亡退院患者率

死亡退院患者率は、医療施設の特性(医療圏で担う機能、地域性、病床数、入院患者さんの年齢や疾患の種類と重症度など)が異なるため、単純に医療の質の良し悪しを比較できるものではありません。
死亡退院患者率の推移を追っていくことで、医療の質が変化していないかを知るのに役立ちます。

分子:死亡退院患者数
分母:退院患者数
除外:緩和ケア等の退院患者


日本病院会 QIプロジェクト臨床指標の死亡退院患者率平均値は、2020年度:3.7%、2021年度:3.7%です。

【考察】
・地域医療に貢献できる体制を整えていきます。

薬剤管理指導実施率

分母 :入院症例数
分子 :分母のうち、薬剤管理指導を受けた症例数


【考察】
・前年度より下がっていますが85%以上を維持しています。


地域連携クリニカルパス活用件数

・地域連携クリニカルパスとは、疾患別の標準的な診療計画に従って、患者さんに切れ目のない最善の連携医療の提供をするシステムです。
 これにより、患者さんが治療の経過や入院生活のイメージができ、安心して治療を受けることができます。

【考察】
・連携パスを広め、連携医療の提供に努めます。

職員におけるインフルエンザワクチン接種率

・入院中の患者さんは、易感染状態であることが多いです。
職員がインフルエンザを病院内に持ち込んで感染を広げることがないようワクチンを接種しておくことが必要です。

日本病院会 QIプロジェクト臨床指標の職員におけるインフルエンザワクチン予防接種率平均値は、2020年度:94.7%、2021年度:92.9%です。

【考察】
・日本病院会の平均値とほぼ同じで職員の予防接種率は9割以上です。コロナ予防接種も同様の値を得ています。
 職員健康診断時にB型肝炎ウイルス検査を行い、HBsワクチン接種は、新入職の職員と同時に接種しています。

職員の健康診断実施率と喫煙率
定期的に職員健康診断を行っています。(4月・9月の年2回)その際に問診項目に喫煙の有無があり、そこから集計しています。

【考察】
・喫煙は、「薬物依存症」でニコチンという禁断症状を形成する薬物を摂取する行為です。
 吸っている人は禁煙したい気持ちがあると思っていても依存症のため、吸いたい気持ちを押し上げ禁煙を困難にしています。
 タバコに囚われた生活からタバコのない生活に戻し、依存症のない生活に戻すため、当院では禁煙を希望する職員への「卒煙」のサポートをに努めています。
今年度も前年度より低い喫煙率となりました。10年前の2ケタから毎年徐々に低くなっています。