第208回 加齢による皮膚の変化とその対策

2012年09月20日

松本真明 成田記念病院皮膚科部長

  皮膚は年齢が上がるにつれて変化してきます。加齢によって皮膚が茶色に変化するのが色素斑点、俗に言われるシミです。よくできる箇所は顔、手の甲です。このシミの中に皮膚のがんである悪性黒色腫があります。別名メラノーマといいますが、皮膚科の中では一番悪く、要注意です。
  ほくろにもいろいろありますが、問題はその大きさです。鉛筆の尖ってない裏側の丸い所をほくろにピタッと当てて、当てた部分がほくろよりも大きいと、がんに変わる可能性があります。白く抜ける斑点のできるのが、一種の皮膚の白髪で、メラニン色素を作る細胞が、加齢とともに作れなくなるためにできます。
  ある日突然、皮膚が紫色になるのが老人性紫斑です。これは皮膚の表面の毛細血管が、年齢が高くなるにつれて毛細血管が弱くなってくるため、すったり、寝返りをしたときなどちょっとした刺激で毛細血管が破れて出血するためにできます。1~2週間で消え、良性です。主に顔に、肌色で盛り上がったようなものができ、その真ん中が臍のようにへこんでいるのが脂腺です。加齢とともに顔の脂の腺が増えて盛り上がるためにできるもので、問題はありません。
  面ぽう、いわゆるニキビも加齢とともにでき、肌色で盛り上がっていますが、真ん中に黒い点がぽちぽちとあり、70~80歳代でもできます。脇の下や首、股などこすりやすい所の皮膚が少し盛り上がり、ぴらぴらしているのがアクロコロゾンで、別名皮膚の紐といい、皮膚の繊維が増えるためにできますが、紐の部分を切除します。
  最初は小さかったものが、1か月くらいで大きくなって饅頭のような塊ができたり、いぼのようなものに角のようなものができていればそれは皮膚がんなので、早期に切除しなければなりません。
  膝から下の血管がモコモコと盛り上がっているのが静脈瘤です。加齢とともに静脈の中にある弁が障害を起こし、血液がスムーズに流れなくなるために起こります。悪化している場合は手術をしなければなりませんが、湿疹ができた場合は、塗り薬を塗ったり、寝るときに足元に枕などを入れて少し足を上げて寝るとよいです。