第121回 慢性関節リウマチの治療 整形外科医の立場から

2012年01月31日

成田記念病院 整形外科医長 鈴木 基裕 第121回 H12.12.13

 リウマチとは、関節にこわばりと疼痛をきたす疾患の総称で100以上の疾患が含まれています。その1つの慢性関節リウマチは、手足のような末梢の小さな関節の炎症からはじまることが多く、しばしば全身の関節が侵される病気です。
 関節を被う袋(関節包)の内側にある滑膜が炎症を起こして軟骨や骨を破壊する病態が分かっています。この滑膜炎を鎮めるためにリハビリや薬物治療を行いますが、コントロールが不十分なときに手術的治療が必要になります。
 病初期には外科的に滑膜を取って関節炎を抑える滑膜切除術を行います。特に膝では小さなキズで済む鏡視下滑膜除去術がよく行われます。関節の破壊が進行して患者さんが日常生活で不自由を感じれば痛みのある関節で骨と骨を固定して無痛性と支持性、安定性を獲得する関節固定術や、痛んだ関節を取り除いて人工の関節と入れ替える人工関節置換術などが行われます。
 また、リウマチ患者さんは首の骨を侵されることもあるため、神経症状が出れば不可逆的な変化が生じる前に脊椎固定術をすることもあります。
 慢性関節リウマチは経過が長く、様々な臓器疾患を合弁することも多いため、手術による不利益(手術時合弁症)を上回るときに整形外科医は手術を患者さんに勧め、さらに手術後も長期の注意深い観察が治療上で重要となります。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.36より