第120回 CAPD もう一つの透析療法

2012年01月30日

成田記念病院 血液浄化部長 畦倉 久紀 第120回 H12.11.24

 透析には血液透析と、お腹で行うCAPD(腹膜透析)の2つがありますが、今日はCAPDを説明したいと思います。
 透析をしなければならない慢性腎不全の原因として一番多いのは慢性糸球体腎炎で、次に糖尿病性腎症、動脈硬化などです。現在、透析導入の患者さんで一番多いのは糖尿病性腎症で全体の36%を占めています。
 CAPDとは、連続的に携帯できる腹膜透析のことで、自分でハンディに持ち運びできる透析とういう意味です。
 CAPDは腹腔内に透析液を入れて透析を行うことをいいます。実際にはお臍(へそ)の横に小さな穴を開け、そこからカテーテル(細い管)をお腹の下、直腸の近くに植え込み、透析を行います。
 CAPDの方法はカテーテルを通して4時間から8時間ごとに透析の交換を行います。これをバック交換と言い、血液中の余分な水や老廃物を除去して血液をきれいにします。バック交換は自分の生活リズムに合わせて1日24時間スタイルで行います。
 CAPDは血液透析と違って果実や生野菜が充分に取れますが、水分や塩分の摂取は血液透析と同じようにきっちりと行わなければなりません。
 CAPDの所長としては、透析中に頭痛や吐き気、さらに血圧の低下などはなく中分子物質の除去効果があり、さらに食事制限の緩和、特にカリウム、タンパク質の摂取がかなり緩和され、自由度の高い生活が可能で、社会復帰が容易であり、在宅治療であるにも関わらず透析設備が不要である- ということです。
 逆に短所は軽い腹膜炎になる可能性がり、カテーテルの出口部やトンネルの中に感染を起こす場合や、入浴中にやや不便であり、バック交換や出口の清潔性を保つことが必要、8年から10年が1つのめどである- などです。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.36より