第183回 高齢化社会を乗り切る健康観を見直そう~市民参加の時代の保障・医療・福祉の連携を考える~

2012年04月03日

丸地 信弘 前信州大学医学部教授
183回H18.02.23
 高齢化社会の「保健・医療・福祉の連携」を住民参加で推進するには、医療(健康)保険と介護保険の二人三脚の姿勢で、「新しい健康観」をもつ必要があります。つまり、頭の切り替えが必要だということです。今回、私はこのことを国内外での50年にわたる医療・保健・福祉に関する教育研修の実践に基づいて話題を提供しますが、この発想は「新しい街づくりの推進」にも通用することを皆さまとの対話で深めたいと思っています。  このことを言い換えれば、これから私たちは「文化と科学技術の融合」を計るため、生涯研修を重ねてバランスのとれた「健康文化の精神」を養う必要があります。  WHOの健康定義(1948年)は「身体的、精神的及び社会的に完全に安寧(幸せ)である状態であり、単に病気でないとか、病弱でないとかというに止まるものではない」と言っています。しかし、この発想だけではこうしたことの達成は難しい面があり、温故知新の考えから、WHOは1998年に新しく健康の4要素の素案として「健康とは身体的、精神的、社会的および全霊的に完全に安寧(幸せ)である動的状態であり、単に病気でないとか、病弱でないとかいうに止まるものではない」を発表しています。  医療・保健・福祉は、身近なことで自分一人だけではなく、家族と、近隣と、地域社会の中で今何ができるのかということをみんなが常日頃考え、一緒に行動をするという当たり前のことができなければ実現しないことは明らかです。