第180回 口腔顔面痛について~お口の中、顔に生じるさまざまな痛み~

2012年04月01日

浅野 弘照 成田記念病院口腔外科医長
第180回 H17.11.25

 口腔顔面痛で比較的よく見られるものの中に、三叉神経痛があります。
 この三叉神経痛は、脳から目にいっている神経、上顎の神経、下顎の神経と3本の神経のどれかが痛むことをいいます。この神経痛は数秒から数分で消えます。それ以外は全く痛くないので、たいしたことはないと思いがちですが、この痛みは1日に何回も起きます。このため、日常生活でさまざまな障害が出てきます。
 痛みが起きるときは、大半が食事をしていたときとか、会話をしている最中、顔を洗っているときなどです。
 治療法としては、第一段階としては昔からあるテグレトールを服用してもらいます。ただ、眠気やふらつき、寝ぼけのような症状の副作用が出ます。この薬の効果が出ない場合は痛みを感じる神経に直接麻酔の薬を使って、神経そのものを破壊してしまいます。それでも痛みが治まらない場合は、神経を圧迫している脳の個所を取り除く手術をします。
 非定型顔面痛(非定型痛)とは、見た目には異常がないように見られる痛みです。この痛みの特徴は、最初起きた痛みが時間的経過とともに顔や頭、首などが痛くなるほか、肩こりがひどくなるなどです。
 口腔顔面痛で、日頃悩んでいる方は多く、その場合は痛みを我慢するのではなく、早めに口腔外科の診察を受けることをお勧めします。そうすることが痛みから早く解放されることになるからです。