第171回 花粉症について

2012年03月22日

成田記念病院 耳鼻咽喉科部長 近藤 喜達 第171回 H17.2.24

 花粉症は、1970年代の後半から増えだし、80年代から90年代に増加し、現時点での花粉症の患者さんは国民の10人に1人か2人は花粉症にかかっていると言われています。年齢別に見ると、10代から急に増加し、30代から40代がピークで、この年代の4人に1人は花粉症だと推測されています。
 花粉症はスギの植林、生活様式の変化、大気汚染などによって起きると言われており、今後更に増えることが予想されており、今は症状がない人でも花粉症になる可能性は十分にあると思われます。
 花粉症が起きるメカニズムは、花粉を異物と認識することによって免疫システムが働き、神経が刺激されて鼻水やくしゃみをして花粉を体外に追い出そうとしたり、鼻の粘膜が腫れるのは鼻の中にそれ以上の花粉が入ってこないようにストップするために起きます。
 治療としては花粉が多いときは外出をしない、外出するときはマスクやメガネをする。普通のマスクをするだけで約60%、メガネは約30%それぞれ花粉を防ぐことができます。花粉専用のマスクだと80%~95%の花粉をカットすることができます。身につける衣料にも注意がいります。綿や毛などは花粉が付きやすいのでそうした衣料は避けてください。花粉症に対する薬も効果を示す薬もありますが、効果がなかったり、眠気に襲われることもあるので、医師と相談して自分にあった薬を見つけることが大事です。薬は症状が出る前に予防的に飲むことも必要です。
 花粉症は毎年の病気なので、患者さまは早めに治療を受け、薬をもらったり、処置をしてもらうメディカルケアと、患者さま自身もマスクやメガネをするセルフケアが車の両輪のように動いて初めて花粉症の予防と対策が効果を発揮するのでこの二つのケアを心がけるようにしてください。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.52より