第170回 よいホクロ わるいホクロ

2012年03月21日

成田記念病院 皮膚科部長 北野 十喜一 第170回 H17.1.26

 ホクロは「皮膚の組織奇形で、多少とも動きを示すものとか、遺伝的素因に基づき、生涯の様々な時期に発現、極めて徐々に発育し、かつ色調、形の異常を主体とする限局性の皮膚の奇形」と定義されています。
 このホクロの定義を私なりに分かりやすく言えば「ホクロは、生まれつきのもので、出てくる時期は問わず、大きさのほとんどは変わらない、色の変化、またはでこぼこである」ということです。
 よいホクロとは形が小さく、色の変化はそれほどなく、皮膚の溝に強い色を示すことが多いといわれています。よく、毛の生えたホクロがありますが、皮膚科医の立場からいえば毛の生えているホクロは喜ばしいことで、本来悪いホクロは毛が生えるような正常な構造を持っていません。従って毛の生えているホクロは良性のホクロが多いということになります。
 悪いホクロの代表的なのが悪性黒色腫(メラノーマ)です。この悪性黒色腫は、他の臓器への転移が多く、がんの中でも悪性度の高いがんです。悪性黒色腫そのものは、メラニンという色素が関係しているので一般的に黒いものが多いようです。
 悪いホクロである悪性黒色腫の特徴としては、成人になってから気づくケースが多く、色は薄く、盛り上がりのなかったものが突然大きくなり、盛り上がり、塊になり、進行すると表面がジクジクし、穴が掘れたりします。ホクロの大きさは、7ミリを超えているものは要注意で、形もいびつで、不規則、左右非対称です。
 悪性黒色腫は生活様式の変化や露出した衣料を着ることが多くなったり、屋外でのスポーツなどで紫外線を浴びる機会が多くなったことなどから増える傾向にあるといわれていますので、こうした点に留意していただきたいと思います。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.52より