第169回 骨と関節

2012年03月20日

成田記念病院 リハビリテーション科部長 松本 博 第169回 H16.12.16

 骨は206本あって体を支え、内臓を保護し、カルシウムを蓄える重要な役割を持っています。
骨は硬いというイメージがありますが、決して硬いだけではありません。しなりといった力にも対応できる能力があります。
 骨の代表的な疾患に骨粗鬆症があります。この病気は、骨の大きさは変わらないけれども骨の絶対量が低い、つまり、低骨量のために骨がもろくなり、骨折しやすくなった状態を言います。
 骨粗鬆症の原因は、骨の代謝バランスが崩れることから起きます。骨の量を測定する方法には、X線や超音波を用いたものがあります。   
 骨の量と年齢の関係は、20代‐30代がピークで、これ以降徐々に低下します。骨の量は男性の方が女性より多く、女性は閉経する50歳前後から女性ホルモンが少なくなるためにこの時期に急激に骨の量は少なくなります。このため、閉経期を迎えたあたりから健診を受けたり、骨の量を調べておくなどの注意を払う必要があります。
 骨粗鬆症によって起きる骨折の代表的なものとしては、尻餅をついたり、転んだりして起きる背骨の圧迫骨折、大腿骨の頸部骨折、階段などで転んだりして衝撃が加わって起きる上腕骨折、手首骨折などです。
 骨折を防ぐには、生活の質を変えることや内服治療による骨量の改善、骨折を起こす原因となる段差をなくし、階段には手すりを付け、足元を明るくするなど住環境の改善による転倒防止策などがあります。外出するときは雨の日は避け、滑りにくい履物は履かない、動きやすい服装をするなどに気をつけることが大事です。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.52より