第162回 不眠症—快適な睡眠のための対策を考えよう—

2012年03月13日

成田記念病院 神経内科部長 川畑 信也 第162回 H16.5.28

 日本人の5人に1人は不眠症で悩んでいたり、不眠症になった経験があると言われています。人間には体内時計があり、その体内時計の周期は25時間です。しかし、人間の体は24時間にリセットする仕組みを持っています。このリセットができないと不眠症に陥ります。睡眠には、脳は活動しているが体自体は休んでいる「レム睡眠」と、脳の働きは低下している「ノンレム睡眠」の2種類があります。こうした状態が1時間から1時間半の周期で繰り返しています。
 不眠症で多いのが、「寝ることが心配」、「不安である」という原発性不眠症、神経症性不眠症です。そのほか薬や身体疾患による不眠症があります。不眠症のタイプは、寝付きが悪い「入眠障害」、ぐっすり眠れない「熟眠障害」、睡眠の途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、夜半から明け方に目が覚め、そのまま眠れない「早朝覚醒」があります。
 不眠の原因を取り除き、よい睡眠を得るための7か条を紹介します。

・毎朝決まった時間に起きて、毎晩同じ時間に寝るといった規則正しい睡眠習慣を身につける。
・朝、目が覚めたら寝床から離れる。いつまでも寝床にいることは避ける。
・日中はなるべく眠らないようにする。
・就寝30分前には静かな音楽を聞いたり、軽い読書をするなどして気持ちをリラックスさせる。
・寝る前に、コーヒーや紅茶、アルコール飲料などの刺激性のある飲み物を飲むのは避ける。たばこも吸わない。
・消化の悪い食べ物を、寝る前に食べないようにする。水分も適量にする。
・無理に眠ろうとしない。眠らなければという焦りが神経を更に過敏にする。ゆったりとした気持ちで眠りにつく。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.50より