第157回 医療選択の時代―医療制度と地域医療連携―

2012年03月08日

成田記念病院 病診連携室長 村上 万美子 第157回 H15.12.24

 高齢化人口の増加による財政の逼迫、高度の医療技術、新しい薬剤の開発による医療費の増加など、医療保険制度の抱える問題点が大きな課題としてのしかかっています。
 このため、医療施設機能の体系化、地域医療連携の機能分化によって問題を解消しようと、医療行政は動いています。
 こうした中で成田記念病院が地域の中核病院としてどのような取り組みをしたらよいかということですが、専門性を持った高度医療、地域の医療機関による高度医療機器の共同利用、難度の高い疾患患者さんの処置や入院の引き受け、医療環境と看護体制の充実、医療相談の整備、急性期患者さんの受け入れなどをあげることができると思います。
 これからの新しい医療形態として地域医療連携の重要性が指摘されています。これはそれぞれの医療機関がその形態による機能分化を図っていこうというものです。その具体的なものが診療所から紹介された患者さんに対して速やかに対応する病診連携があります。成田記念病院では平成9年6月から病診連携室を設置しています。
 病診連携の良い点は、高度な医療を迅速に受けることができる、複数の医師の診察を受けることができることなどです。
 どのような医療を選択するかは患者さんにとって重要な事だと思います。しかし、実際には患者さんにとって医療の選択肢は意外に少ないのが実情のようです。だからといって他の人に選んでもらうことはできません。あくまでも自分で選択しなければなりません。そのためには病気や治療について医師に十分聞き、理解することが大切です。その上で加療、療養、介護について把握することが重要になります。
 自分で決めるという姿勢をしっかり持っていれば医師もきちんと応えてくれると思います。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.48より