第131回 最近増えている前立腺癌

2012年02月10日

成田記念病院 泌尿器科医師 初瀬 勝朗 第131回 H13.10.26

 前立腺癌は食生活の欧米化、検査法の進歩などにより年々増加し、大きな問題になっています。前立腺は男性だけにあり、膀胱の下に位置し、大きさは普通クルミ大です。
 前立腺の腫瘍は、大きく分けて尿道に近い内腺が肥大する良性の前立腺肥大症と、外腺にできる前立腺癌があります。前立腺癌は尿道から離れたところにできるために初期症状はまずありません。このために知らないうちに骨、リンパ節に癌が進行していることがあります。また、腰痛と思い込んでいると、神経を圧迫し、歩けなくなることもあります。
 前立腺の外来検査は、お尻からの触診、超音波検査、血液検査の3つです。血液検査は中でも診断率が高く、採血で癌の疑いをつけることができます。
 治療法は前立腺全摘出、ホルモン療法があります。また、最近、新しい手術法として術後の痛みが少なく体への負担が軽い腹腔鏡下術があります。この術式はお腹を開けるのではなく、お腹に2センチほどの小さな穴を数カ所開けて内視鏡を挿入して前立腺を摘出する方法です。
 家族に前立腺癌のあった人の場合、前立腺癌になる確率は2倍から3倍、乳製品を好んで食べる人、男性ホルモンの多い人なども前立腺癌の危険因子と言われています。中年期以降の男性は一度検査をすることをお勧めします。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.39より