第202回 画像診断・治療装置の進歩~歴史をふまえて~

2012年09月10日

原滋 成田記念病院放射線科技師長

 エックス線は、1895年ウイルヘルム・コンラット・レントゲンによって発見されました。以来、エックス線は各分野で活用されていますが、医療分野に対する貢献は多大なものがあり、エックス線の発見なくして今日の医療の進歩は考えられないほどです。
 画像診断装置の推移ですが、昭和36年代の主な画像診断装置は、蛍光板方式の透視撮影装置でした。その後はリングスタンド型の透視撮影装置(エックス線テレビ)となり、ジャイロスコープといってプログラム制御方式多方向の透視撮影装置も普及してきました。この装置は、撮影台自身がいろいろな方向に回転するため、患者さまの体位変換はありません。
 昭和45年以降になると、年々開発が繰り返され、最近では、画像診断上必要不可欠な存在となりました。当院も、最先端の64列マルチスライスCTを導入しています。この64列マルチスライスCTは、短期間の検査で、冠動脈などの血管を3次元表示撮影できるという、これまでにない優れた機能を持っています。
 核医学診断装置は、放射線同位元素を使って撮像するものです。体のどこかに異常があると、その部位に放射線同位元素が多く集まったり、まったく集まらなかったりします。
 乳がんの早期発見に威力を発揮している画像診断装置が、マンモグラフィ(乳房撮影装置)です。当院では、平成16年に導入し、これまで数多くの早期の段階での乳がんを見つけています。
 また、最新の治療装置としては、ガンマナイフがあります。201カ所のガンマ線で集中的に腫瘍に照射して消滅させます。サイバーナイフもガンマナイフと同じ機能を持つ治療装置です。こうした治療装置を定位放射線治療装置といいます。
 放射線診断や治療に使われる線量は、自然界から出ている線量よりも少ないので、安心して治療を受けてほしいと思います。