第188回 ウイルス性肝炎 最近の話題~特にC型、B型肝炎の診断及び治療について~

2012年04月08日

溝口直人 成田記念病院消化器科部長

 わが国で慢性肝炎を起こす原因の肝炎ウイルスとして問題になっているのがC型とB型です。C型肝炎は、輸血後にC型肝炎ウイルスに感染した患者さんの3分の2が慢性化するといわれています。B型肝炎は、成人の場合は感染しても慢性化することはまれだといわれています。  わが国でC型肝炎がなぜ問題になるかと言えば、肝臓がんが増えているからです。肝臓がんの原因は、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスであるということがはっきりとしています。現在国内のC型肝炎ウイルス感染者は150万人から200万人と推測されており、慢性化率は60%から80%と極めて高く、自然治癒することはありません。  一般論としてC型の慢性肝炎と診断された7割前後の患者さんは、約15年から20年で肝硬変になり、それから10年経過して肝臓がんになるといわれています。治療は、初期のうちにインターフェロンなどの薬でウイルスを叩いておくことが重要になります。肝臓がんになった場合の治療は、アルコール療法や当院でも行っているラジオ波でがんを直接焼き切ってしまう療法があります。  ただ、C型肝炎には特有の症状はなく、偶然献血や、健康診断によって肝機能障害があったり、精密検査をした結果見つかるといったケースが多いようです。  治療薬として1週間に1回の投与でよい新しいペグインターフェロンがあり、約5割の患者さんは、C型肝炎ウイルスが約70%消える効果があります。ただ、副作用が現れるので患者さんがそうした副作用に耐えることができるかどうかが一つの課題になっています。  B型肝炎は、現在は、輸血で感染することはほとんどなく、約6割が性行為感染です。治療薬としては、逆転写酵素阻害薬などが効果あるということがわかり、普及しつつあります。