第186回 気管支喘息とペット飼育

2012年04月06日

堀口高彦 藤田保健衛生大学医学部助教授 坂文種報徳会病院呼吸器内科
186回H18.05.17

 現代の社会では、ペットは家族の一員として欠かすことのできない存在になっていますが、ペットに対するアレルギーの人も多く、日本人の4割強が何らかのアレルギーを持っているといわれています。
 ペットは室内アレルゲンとしては、ダニなどと同様に大変重要な原因の一つと見なされています。
 わが国では初めてペットにかまれて亡くなったという悲惨なケースがあります。
 このケースは、2004年埼玉県で、喘息の患者さんがペットのジャンガリンハムスターにかまれたショックで亡くなられたというものです。
 昨年までの調べで、ハムスターにかまれた事例としは17例あり、1人亡くなり、2人が植物状態に陥っています。
 喘息とは、気管支が細くなるためで、細くなる原因は気管支が慢性の炎症を起こしているためです。従って、ペットを飼っていることによって喘息のある人は、気管支も炎症を起こします。 喘息で昨年は3200人前後の方々が亡くなっていますが、亡くなっている方の特徴としては大多数の人が高齢者であるということです。 喘息は、日常生活の中で十分コントロールのできる病気です。従って、気管支喘息で尊い命を落とすということは残念なことです。
 ペットを飼われていたり、近い将来ペットを飼おうと考えておられる方は、ペットのアレルギーを知った上で飼うようにしてほしいと思います。