第166回 足がくさるって本当?―閉塞性動脈硬化症と静脈瘤について―

2012年03月17日

成田記念病院 心臓血管外科部長 鵜飼 知彦 第166回 H16.9.30

 足が腐る原因には動脈によるものと、静脈によるものとがあります。閉塞性動脈硬化症の原因は動脈硬化です。症状が出てくるのは60歳代から70歳代で、9割が男性です。患者さまのほぼ100%がたばこを吸っています。症状の進み具合ですが、第1段階は「足が冷たい・しびれる」、第2段階は「歩いたり、運動すると足が痛くなる」、第3段階は「運動をしなくても足が痛くなる」、足が腐ってくるのは第4段階で、「足の色が黒くなるなど色が変わる」です。
 症状の軽い段階から重い段階まで取り組まなければならないのが禁煙、肥満、ストレスなど生活改善と毎日歩くなどの運動です。症状が悪化すると血管内治療や手術が行われます。最も重症になると足を切断しなければなりません。血管内治療は血管の中にバルーン(風船)を入れて細くなっている血管を広げる治療法です。最近はレーザーや削り取ったりする方法もあります。重症の場合は手術となります。軽症の場合は血管を広げる血管拡張剤や血の塊を溶かす薬を服用してもらいます。
 静脈瘤の原因は逆流防止弁が壊れたために静脈がたまるために起きます。特徴的な症状としては、足がむくむ、足がだるい、夜に足がつるなどです。女性に多く、30歳以上で、出産経験があるほか立ち仕事に従事している人に多いです。症状の第1・第2段階は、足の表面がこぶ、こぶになって夕方足がだるいなるなどです。第3段階は、皮膚炎になり、第4段階になると、皮膚がただれてきます。
 治療法は、ストッキングで足を全体に締めつける圧迫療法と硬化剤を静脈に注入する、悪い静脈を切除する手術があります。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.51より