第123回 膠原病とはどんな病気?どのようにして治療する?

2012年02月02日

藤田保健衛生大学 内科名誉教授 鳥飼 勝隆 第123回 H13.2.2

 膠原病は一つの病気ではありません。全身性エリトマトーデス、慢性関節リウマチ、強皮症などといった病気の総称で、体質の異常から起きる病気です。
 体質といってもいろいろあります。高血圧の体質、糖尿病の体質などがありますが、膠原病に近い体質としては花粉症や気管支喘息などアレルギー体質があります。この体質は体の中に入ってきた花粉などの異物に体を守るために働く機能の免疫が過敏に反応しすぎる体質です。
 膠原病は体の中にある成分に免疫が反応する、つまり、自己免疫反応を起こす体質です。その結果、熱を持ったり、関節が腫れるといった炎症が起きます。この炎症を放置しておくと、症状は進行し内蔵に炎症が起きると臓器の機能は低下してきます。
 膠原病に対する治療法は二つあります。一つは症状の進行と臓器の機能低下を抑える方法。もう一つは異常な自己免疫反応が起こらないように抑制する方法です。膠原病の炎症を抑えるために用いられる薬は副腎皮質ステロイドホルモン剤が中心になります。副腎皮質ステロイドホルモン剤を使用する時、最初の投与量を、およそ4週間続け、その後再発のないように注意しながら2週間毎に薬の量を減らしていきます。
 この副腎皮質ステロイドホルモン剤が効かない時はそれに加えて免疫反応も抑制する免疫抑制剤を用います。
 この治療法で病状の活動性をある程度封じ込めることができます。しかし、こうした治療法が効果を示さないケースがあります。
 万一そうした場合は血液の中に存在する自己抗体など人工的に除去する血漿交換療法を行ったり、短期間、集中的に多量の副腎皮質ステロイドホルモン剤を静注する(パルス療法)などの治療を行います。以上述べた治療法が現在膠原病に対する治療の基本です。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.37より