第177回 胃ろうを用いた栄養法〜むせて食べられなくなったらどうしますか? 〜

2012年03月28日

成田記念病院消化器科医長  遠山 卓 
第177回 H17.08.26
肺炎や食べるとむせる、脳梗塞、脳出血、認知症(痴呆)によって自分で食事が取れない、また物を飲み込むことができない、咽頭、喉頭、食道、胃の入り口に腫瘍があって狭さくがあるなど、口から栄養が取れなくなっている病気が増えています。  こうした場合、栄養補給法としていろいろな方法がありますが、ここ数年注目されているのが、胃に『第二の口』と言われる胃ろうを作る方法です。胃ろうとは、お腹の表面から胃まで穴を開け、その穴から管を入れて直接胃に栄養を補給するということです。  栄養補給法には、点滴や鼻からのチューブなどがありますが、点滴は長期間になると腸の働きが弱くなります。鼻からのチューブは、患者さまに苦痛や違和感、むせる、さらに頻回にチューブを取り替えたり、チューブが抜けやすいといった問題があります。  胃ろうにはこうした問題はありませんが、万能ではなく、短所もあります。胃ろうを作るときに負担がかかる、術中、術後にばい菌がついたり、間違って腸を刺すといった合併症が少なからずあるほか、チューブを自分で抜いたりすることなどです。  胃ろうは、比較的合併症が少なく、管理が容易である、在宅医療に適している、風呂に入れるなど日常生活の上であまり障害がない、ごく自然な形での栄養補給法ができるなど大きなメリットがあり、現在普及しています。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.54より