第195回 緑内障~早期発見治療のために~

2012年04月15日

宇佐美好正 成田記念病院眼科部長

 緑内障は、視神経と視野に異常はあるが、眼圧を十分に降下させることにより、視神経障害の改善、あるいは進行を阻止しうる病気です。緑内障は、少し前までは、眼圧が高いために発症すると考えられ、眼圧の異常が原因だといわれていました。しかし、数年前の調査によって眼圧が正常であっても緑内障になることがわかり、原因はまだわかっていません。  緑内障には、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障があります。開放隅角緑内障の一つに眼圧が高くなって緑内障になる原発開放隅角緑内障があり、最近注目されているのが、眼圧は全く正常なのに視神経だけが悪くなる正常眼圧緑内障です。  閉塞隅角緑内障の中には、眼圧の高い慢性閉塞隅角緑内障や、ある日突然緑内障になり、失明してしまう急性閉塞隅角緑内障などがあります。  緑内障の有病率は、住民5万人の中から40歳以上の人を無作為に選んだ4千人を調べた結果、約5%、20人に1人が緑内障があり、このうち、約7割以上が正常眼圧緑内障でした。  緑内障の治療は眼圧を下げることにあります。眼圧の高い緑内障では初期の場合は、正常眼圧値の20以下に、少し進んでいる場合は15に、進行していて末期の場合は10前後まで下げる治療をします。正常眼圧緑内障の場合は、普段の眼圧より約30%まで下げるとよいといわれているので、自分の眼圧がいくらなのかを知っておくことが大事になります。  眼圧を下げる治療法は、点眼治療と手術です。点眼治療には効果が期待できる目薬があるので、早期に緑内障を見つけて点眼治療を受ければかなりのケースで失明を避けることができます。点眼治療の効果がなく、目薬に対してアレルギーがあるなどの場合は手術となります。  緑内障と診断された場合は、これ以上進ませない治療となります。そのためには、必ず定期検査を受けて眼圧を測り、視野検査、眼底検査を受け緑内障を早期発見することが大切になります。