第122回 高血圧の治療 どこまで下げるか

2012年02月01日

成田記念病院 循環器内科部長 小林 建二 第122回 H13.1.12

 高血圧治療の一番の目的は、高血圧が血管(動脈のこと)に障害を与えるからそれを防ぐことにあります。
高血圧がなせ血管に障害を与えるかといえば 1.血管の内側に圧力がかかる 2.血管の内膜を覆っている細胞に障害を及ぼす 3.外側から支えている平滑筋が増殖したり、血管の内側にコレステロールや脂肪が蓄積される 4.その結果、血管が肥厚、または破壊される- です。
血管の障害がどこにおこるかといえば、基本的には全体の動脈すべて侵されますが、特に心臓、脳、腎臓、手足や目の末梢動脈です。
高血圧の危険因子はたばこ、高コレステロール血症、糖尿病、家族の中に高血圧のある人- などです。
診断の基準は座った姿勢で、2回以上、日にちを変えて測り、上の血圧が140以上、下の血圧が90以上でどちらか1つを満たした場合を高血圧と言います。
高血圧の治療法は運動、食事、アルコール、たばこといったことで血圧を下げる非薬物療法と、薬で血圧を下げる薬物療法の2つがあります。
日常生活で注意すべき点は生活のリズムを守る、十分な睡眠を取る、ストレスをためない、たばこをやめる、飲みすぎない、塩分は控えめにする、風呂はぬるめのお湯にする- などです。
高血圧は10年、20年とじわじわと心臓や脳の血管にダメージを与え、その結果、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす原因になります。従って症状がないからといって放置しないで十分に注意してほしいと思います。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.36より