第201回 顔の美容形成手術

2012年09月09日

藤井勝善 成田記念病院形成外科部長

 形成外科の治療対象は、やけど、顔のけが、顔の骨折です。手足の先天的な異常、耳の先天奇形、いろいろなあざ、傷跡の修正、床ずれなどの難治性潰瘍なども含まれます。
 形成外科には、これ以外に美容外科があり、二重まぶた、顔などのシワ取り、鼻を高くする、胸を大きくする豊胸、足やお腹の脂肪を取る脂肪吸引などがあります。足や腕の骨折は整形外科になります。
 形成外科の治療で、例えば顔面の骨折や顔面皮下腫瘍の除去では、小さい穴を開けてそこから内視鏡を挿入し、モニターを見ながら行うものもあります。この内視鏡手術の利点は、患者さまに対する負担が少ない、術後の傷跡が目立ちにくい、治療期間が短くて済むなどです。
 美容外科では、あざやシミ、色素沈着、老人性色素斑などは、レーザー治療が行われます。当院にも茶色などのあざを治療するQルビー・レーザー装置と、ほくろや黒いあざを治療する炭酸ガス・レーザー装置があります。これらレーザー装置の利点は、あざやシミをほとんど出血させることなく治療することができることです。
 レーザー治療で効果の現れないケースもありますが、こうした場合は、最近注目されている活性型ビタミンAを直接肌に塗って表皮の細胞を増殖、促進させ、皮膚の新陳代謝をよくするトリチノイン療法が行われます。
 目のくぼみは、ヒアロイン酸を注射で注入することによって改善させます。持続性は3~6カ月なので、再度注射で注入し、維持しなければなりません。また、自分の脂肪を注入する方法もあります。この場合は半永久的になります。
 美容外科で多いのが一重まぶたを二重まぶたにする手術です。治療法には、比較的簡単にでき、傷跡が目立たない埋没法と、切開して二重まぶたをしっかりつくる切開法とがあります。しかし、埋没法は、数年で元の一重まぶたに戻ることがあります。切開法は、まぶたを切って二重まぶたにするため、切るということに対して抵抗がある方もみえますが、元に戻ることはありません。
 まぶたが垂れる眼瞼下垂は、加齢現象の一つですが、肩こりや頭が痛い、まぶたが重いといった症状が起きる原因の一つになっているのではないかと最近いわれています。この眼瞼下垂の手術をした結果、こうした症状がなくなるということで、今、形成外科で大変注目を集めています。