第200回 ひつこい咳

2012年04月20日

半田美鈴 成田記念病院呼吸器科部長

 咳は、ほこり、細菌、ウイルスなどの異物から肺を守るために強制的な空気の固執によって排出しようとする生体防御・反応の一つですが、いろんな疾患が隠れていることが多いです。
 咳の分類としては、持続期間による分類と、症状による分類の二つがあり、持続期間とは、急性の場合が3週間未満、慢性は2カ月から3カ月続く咳です。
 急性に起きる咳で多いのが風邪、気管支炎、肺炎などです。慢性閉塞(へいそく)性肺疾患の急性増悪の咳は、肺気腫の患者様や在宅酸素療法をしている呼吸不全の患者様が風邪などの感染をきっかけに呼吸が悪くなるときにでる咳などです。
 気管支喘息は、気管支の粘膜が腫れぼったくなり、その周囲を螺旋状に取り巻く筋肉が収縮して空気の通り道が細くなり、普段はなんにもないのに急に咳が出たり、息苦しさが出る病気です。
 この喘息の増悪因子で多いのが風邪です。このほかには、梅雨時や台風が来る前といった天気、過労などで起こります。
 気管支喘息に対する予防法と注意点は、ダニ、ハウスダスト、犬、猫、ハムスター、モルモットなどのペットアレルゲン、花粉、カビなどが原因になるため、こうしたものに注意を払う必要があります。
 喫煙も咳が出る原因になります。喫煙は体に決して良くありませんので、禁煙をお薦めします。私は月曜日の午後3時から禁煙外来を行っているので、禁煙したいができないという方は一度受診に来てください。
 3週間続くしつこい咳が続く場合は、なるべく早く専門機関を受診し、正しい診断を受けて治療することが大事です。