第185回 子供の機能性腹痛について-毎日腹痛で困っていませんか-

2012年04月05日

河合新治 成田記念病院小児科医長
185回H18.04.27

 日常生活の中で、機能性腹痛の訴えとしては、「学校に行く準備中、お腹の痛みを訴えるが学校に行かせると平気である」「注意したり、叱ったりすると腹痛を訴える」などです。
 こうした腹痛に対する家庭での対応は、トイレに行かせたりお腹をさすり、温めたりしているのが一般的のようです。
 腹痛には、外科的疾患や胃腸炎などの器質性疾患による腹痛と、明らかな原因のない機能性腹痛があります。機能性腹痛には、学校を休むなどすごく痛い腹痛の発作が少くとも3か月以上の期間、3回以上ある反復性腹痛、腹痛に便通異常を生じる過敏性腸症候群などがあります。
 腹痛で夜中に起きる、ぐったりしたり、食べれない、おう吐を繰り返す、便に血が混じる、血尿、顔色が悪いといった場合は外科的疾患や感染性疾患といった器質性疾患を考え病院での詳しい検査が必要です。
 このような症状がない場合、説明と必要に応じ採血、検尿、レントゲン撮影などで器質性疾患の見落としのないことを確認します。
 子供の機能性腹痛は、人間的な未熟さともいえる精神的な要因もあり、病気というより、お腹が痛くなる体質として腹痛と付き合う気持ちが大事になります。
 早寝、早起き、規則正しい食生活、毎朝の排便や適度な運動を心がけることで腸の状態を良くし、親が日常の子供の話を聞いてやることで、少しでも子供のストレスを開放して
やり、子供の人間的な成長を促しましょう。
 時には、薬の力を頼り、親、家族、仲間、教師、医師により、自身を受けとめられることで、子供は少しずつ自信をつけていき、上手に腹痛をコントロールできるようになるでし
ょう。
 腹痛や下痢などによって不登校の原因になることもあるので、保護者は担任の先生に「たびたび腹痛を訴えたり、トイレに行きたがる」ということ伝えておくと理解は得られやすいと思います。