第181回 自宅でできる傷の治療―最近の方法―

2012年04月02日

山崎民千明 成田記念病院形成外科部長  
181回 H17.12.19
一般的に家庭では、転んだときや、指を挟んだときにできる傷に対して消毒薬を使い、ばんそうこうを貼って乾かして、かさぶたを作って治していると思います。  しかし、ここ数年、こうした転んだときや、指を挟んだときにできる傷のほか、やけど、床ずれ、手術後の傷跡に対して「きれいに」、そして「痛くなく」治すため、消毒液を使わず、傷は乾かさない新しい治療法である湿潤療法が行われ、大きな効果を上げています。  この湿潤療法は、傷を乾かさず、できるだけ濡らした状態にしおくと、新しくできた皮膚も取れず、痛みもなく、しかもきれいに治ります。  消毒すると傷を治そうとする皮膚や細胞を殺してしまい、治りが悪くなり、化膿しやすくなります。傷口は水で洗った方が、ばい菌の数が減って感染を防ぎ、治りやすくなります。傷を乾かさないためには、サランラップなどのラップで傷を覆っておくと、傷口から出てくる傷を治す成分が残り、じゅくじゅくとした状態にしておくことによって傷は早く治ります。  この湿潤療法は、家庭でも簡単にできるという大きな利点があるので、この治療法を活用して欲しいと思います。