第160回 安全医療をかんがえる

2012年03月11日

読売新聞中部支社編集委員 片岡 太 第160回 H16.3.17

 医療ミスが相変わらず後を絶たず医療不信を増幅させています。人間の体は複雑で、また、個人差があります。このため、医療行為には絶えず危険が伴い、予測できないこともしばしば起きます。このため、医療は間違いが起きやすいということを前提に医療事故、医療ミスの防止、いわゆる安全な医療を実現するために有効な事故防止対策を確立することが求められています。
 読売新聞が実施した国民の医療に対する意識調査によると、「現在の医療に満足している」は37%、「不満である」が60%を占め、世論調査開始以来過去最高の悪さとなっています。また、「医療事故が起きたときに医療機関は原因をきちんと公表しているかと思うか」という問いに対しては「公表しているとは思わない」が98%を占め、医療不信の深さを示し、自己隠しといった医療機関の隠蔽体質を指摘しています。医療に対する世論調査で浮き彫りになったことは、医療機関と国民との間に大きなギャップがあり、国民は医療機関が考えている以上に冷静な目で医療を見ているということです。このことを医療機関は真剣に考えるべきだと思います。
 医療機関は、今や「選ばれる」時代に入っています。このことをしっかりと自覚し、「医療はサービス業」という認識を持ち、患者サイドに立った医療の実践、より質の高い医療サービスを提供することに取り組まなければ患者から見放されることは明らかだと思います。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.49より