第156回 痛みなどの不定愁訴と漢方薬 自律神経失調症?更年期障害?それとも?

2012年03月07日

成田記念病院 麻酔科部長 大沼 哲朗 第156回 H15.11.27 

 麻酔科では痛みの治療をするペインクリニック外来を行っています。痛みは悪循環し、放っておくと痛みの物質が痛みの個所に溜まり、どんどんひどくなっていく痛みもあります。
 そうした痛みに対して漢方薬が効果を示すケースが多くあります。漢方は、体質と症状に基づいた総合的な医学のことで、人間が本来持っている自然治癒力を引き出す手助けをするものです。
 漢方薬は生薬をいくつか組み合わせてつくられたもので、患者さんの体質や症状、いわゆる漢方でいう「証」に合わせて使われます。 同じ病状でも患者さん一人ひとり違います。従って漢方薬を処方する場合は患者さんの病状を良く見極めて処方することが大事になります。漢方薬はピタッと当たると即効性があります。だからといってその漢方薬が他の人に効果があるかどうかは分かりません。
 漢方には疲れ、新陳代謝の低下、寒いといったことを表す「陰」と、血気盛ん、新陳代謝が亢進していることを表す「陽」という概念があります。漢方医学の基本原理は「陰と陽のバランスを回復する」ということです。
 また、「虚実」という言葉があります。「虚」とは抵抗力や回復力が弱い、つまり、虚弱体質だということで、「実」とは抵抗力があり、体力が充実しているということです。
 「虚」の人には不足しているものを補助する補剤を処方します。「実」の人はパワーを少しそぐ漢方薬を処方します。漢方薬を上手に処方することによって治療効果を高めることができます。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.48より