第135回 高脂血症とは?

2012年02月14日

成田記念病院 循環器科医長 笹井 冠奈 第135回 H14.2.28

 高脂血症とは、脂肪が過剰になった状態をいいます。
 腸管で吸収された脂質や、肝臓で新たに合成された脂質は、血液に乗って末梢組織へと運ばれます。末梢組織では、脂質を受け取ってエネルギー源として利用、あるいは蓄積し、また、細胞の増殖や保全のため、ホルモンの材料として利用しています。
 脂蓄の主成分としてコレステロールと中性脂肪があります。コレステロールは、細胞膜やステロイドホルモンの材料になりますが、コレステロールを多く含む食品の取り過ぎ、体内の合成過剰、胆汁酸の排泄不良などにより高くなります。
 中性脂肪は貯蓄型の脂質で、エネルギー源として脂肪組織に蓄積され、体内のエネルギー源が乏しくなると分解利用されます。間食が多い、運動不足、お酒を飲み過ぎる、糖尿病などの代謝異常のある人に高くなりやすいです。
 脂質は悪い物だと思っている人が多いと思いますが、脂質は人間が生きていく上で欠かすことのできない重要な物質です。しかし、食生活や生活習慣の変化などにより、脂質代謝のバランスが崩れ、血管壁に脂質が沈着し、粥状動脈硬化が発生することになります。
 高脂血症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症)、高血圧、糖尿病、喫煙などは動脈硬化を進行させるといわれています。
 これらを治療することで、狭心症、心筋梗塞という虚血性心疾患の発生率を減らすことが分かってきています。
 食事療法、運動療法、薬物療法で脂質を適正な値にしていきましょう。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.40より