第193回 冬のウイルス感染症予防~感染性胃腸炎・インフルエンザを中心に~

2012年04月14日

三浦由江 成田記念病院感染対策看護師

 感染性胃腸炎を引き起こすウイルスは、冬場はノロウイルス、ロタウイルスなどがあります。ノロウイルスに感染すると、嘔吐、下痢、腹痛、水様性の下痢便など食中毒と同じような症状を起こします。潜伏期間は12時間から72時間で、感染してから1日から3日くらいで治癒します。発症年齢は、乳幼児からお年寄りで、直接効果のある薬はありません。ロタウイルスは、主に乳幼児に感染し、症状はノロウイルスと同じですが、白い便が特徴です。  ノロウイルスから身を守るには、下痢、嘔吐がある場合は調理を避ける、調理する場合は十分な加熱と石鹸などをつけて手を洗うことが大切です。一般的な予防原則としては①病原体をつけない②人も食品もきれいにする③手はきれいに洗う—です。  厚労省は「守って、防いでインフルエンザ ワクチン、手洗い、マスク、うがい」という標語をつくり、インフルエンザの注意を呼びかけています。  風邪とインフルエンザとの違いですが、風邪は喉の痛み、くしゃみ、鼻水、熱など軽い症状があります。これに対してインフルエンザはゾクゾクとする寒気を伴う38度以上の熱が突然でるほか関節痛などがあります。  インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こり、A型、B型、C型のタイプがあり、A型、B型が流行します。免疫力が落ちている小児や高齢者がかかると死亡することもあります。感染経路は、感染者のくしゃみやせきなどによって病原体が飛び散る飛沫感染です。  予防法は十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、適度な加温と適度な加湿をする、手洗いとうがいをする—です。