第199回 インプラント治療について~歯を失って悩んでいませんか?~

2012年04月19日

大野繁夫 成田記念病院歯科口腔外科部長

 歯を失った場合の治療法には、義歯、ブリッジ、インプラントなどがあります。その中で、インプラント治療とは、歯のないところに人工的に作った歯根を、歯を支えている骨の中に埋め込んで、歯としての形態機能を回復させる治療です。
 インプラント治療が義歯やブリッジと違うところは、歯がなくなった部位の歯の根っこまで作るという点です。インプラントの材質は骨と直接くっつきやすい性質を持つチタン性のオッセオインテグレーテッドタイプで、これが主流となっており、40年以上の実績があり、信頼性は非常に高いです。
 実際にインプラント治療する場合の流れとしては、骨を削ってインプラントを埋め込まなければならないので手術が必要になります。このための血液検査で全身の健康状態を調べたり、レントゲン撮影をしたり、歯型の模型を使っての審査などを行って問題がないことが分かれば具体的な治療計画を立て、手術を行います。
 インプラントの治療は、1回法と2回法がありますが、手術を1回するか、2回するかの違いで、症例に応じて選択します。手術してもインプラントが骨にくっつくには3カ月から6カ月かかるので、その間は歯は入りません。
 歯が入った後の主なメインテナンスで大事なことは、インプラントは異物なので、毎日のブラッシングが重要となります。定期健診も欠かすことはできません。
 「インプラントを入れると一生持つのか」ということをよく聞かれますが、インプラントが異物であることから、ブラッシングの状態、インプラントに対する負担のかかり具合、周りの骨や歯の状態などに影響されるので、「一生持ちます」とは言い切れません。
 インプラントの大きな特徴は、残存歯を削ったり、支えにすることなく歯を作ることができ、適応範囲が広い――ことです。弱点としては、義歯やブリッジに比べて手術が必要なので、体に対する負担が大きい、すぐに歯が入らないために治療期間が長くなる、治療費は全額自己負担であり、1本30万円前後かかる――などです。
 骨量不足などで従来では治療が困難であった症例でも、最近では骨造成術を行い、インプラントを埋め込む治療が行われています。