第196回 突発性難聴について

2012年04月16日

吉岡真理子 成田記念病院耳鼻咽喉科部長

 突発性難聴とは、突然音が聞こえなくなる病気で、はっきりした原因は分かっていません。突発性難聴の患者さんは、増えており、1987年、国で1万 6千人だったのが、01 年には3万 5千人になっています。これは人口一人当たりに換算すると100万人当たり90人となり、豊橋市の1人あたりでは、1年に110人に突発性難聴になっていることになります。増えた要因については、ストレスや耳の病気で病院に行く機会が多くなったために患者さんがよく見つかるようになったということも関係しているのではないかと思います。
突発性難聴は、国が定めた特定疾患になっていますが、医療費は無料ではありません。国は突発性難聴の診断基準を定めています。
それによると、主な症状は、1.突然の難聴 2.高度の感音難聴 3.原因が不明確である 4.その他の症状として目まい、ふらつき、吐き気、おう吐などです。
突発性難聴になる人の3割から8割に目まいがあります。突発性難聴の目まいや難聴は 1回きりで、何度も繰り返すことはなく、片方の耳に起こり、話しづらいとか顔が麻痺するといったほかの症状をともなわないのが特徴です。
突発性難聴になる引き金としては、つかれ、睡眠不足、生活リズムの乱れ、ストレス、風邪などが多いようです。治療はステロイドなどの薬を投与します。ただ、ステロイドは副作用として、糖尿病や風邪などの感染症にかかっている人は病状を悪化させたり、胃潰瘍になりやすい、などがあります。もう一つの治療法としては高い圧力をかけて体に十分な酸素を供給して各臓器の機能を回復させる高気圧酸素療法があります。ただ、この装置は何処の医療機関にでもあるというわけではありませんが、成田記念病院にはこの装置があり、ある程度治癒率の向上に役立っています。しかし、早期発見・治療が何よりも大切です。聞こえの異常を感じたら早めの受診をお勧めします。