第190回 AEDを覚えよう

2012年04月10日

大沼哲朗 成田記念病院麻酔科部長

 AEDとは、自動体外式除細動器といいます。人が目の前で倒れたときに第一にすべきことは119番通報することです。倒れた人にとって空気の通り道の確保、つまり、気道を確保することが大事になりますが、それと同時に大事なことが胸骨圧迫、つまり、心臓マッサージとAEDです。  このAEDは、駅構内、動物園、博物館、空港など人がたくさん集まる公共施設などに設置されています。一般の人はAEDを魔法の器械のように思われているようですが、実はそうではありません。人工呼吸と心臓マッサージにAEDをプラスして適切に使えば救命率は飛躍的に上がります。  心臓発作で倒れたりすると、心臓がけいれんした状態になっている時間帯があります。その時間帯にこのAEDを使うと正常な状態に戻る可能性が高く、何もしなければ救命率は低くなり、倒れてから10分以上経過すると救命率は0に近づくといわれています。  倒れた人と直面した場合にすべきことは、直ぐに119番し、その後は倒れた人の気道の確保(頭を後ろにそらし、顎の先を持ち上げる)し、口元に顔を近づけて正常な呼吸をしているかどうか確認し、正常な呼吸をしていなかったら、2回の人工呼吸と30回の心臓マッサージを繰り返し行い、AEDを使います。一度もAEDを使ったことのない人は不安でしようが、そんなに難しいものではありません。AEDの使用法を前もって読んでおき、実際に使う機会があればスイッチを入れた後に聞こえてくる音声の指示に従って下さい。  救急車が来る前にすべき1次救急処置は、「119番―気道確保―人工呼吸―心臓マッサージーAED」です。もし、倒れた人と遭遇した場合、この1次救命処置を行えば救命率はかなり改善されます。