第184回 運動で長生きができるか?

2012年04月04日

及川道雄 成田記念病院リハビリテーション科部長
184回H18.03.15
WHO(世界保険機構)が2002年3月の「世界健康の日」に①世界の人口の6割から7割は運動不足である②運動不足が原因で毎年200万人が亡くなっている③運動不足の生活では心血管系、糖尿病のリスクは2倍と報告し、1日30分の軽い運動を奨励しています。
 運動と寿命の関係を研究したフィンランドのデータでは、1920年から1965年にオリンピックや世界選手権に出場した選手2613人と一般人との比較をしています。それによると、クロスカントリー選手は6・9歳、ランナーは5・9歳、サッカー選手は2・6歳と一般の人より長寿でした。
 運動はどのくらいすればよいか―米国のデータでは1週間に500~1000カロリー運動すると、死亡率が約22%になり、250~3000カロリー運動する人の死亡率は約8%でした。これは1時間ジョギングを週5、6回する運動量に相当します。
 日本人の運動と寿命の関係は、米国のデータを基に言えば、全く運動をしなかった50歳の男性が、週3回ジョギングをすると、平均寿命は0・85年延びると予想されます。
 運動は寿命の延長効果というより、病気の予防効果があると言えます。結果として運動不足の人には、寿命の延長効果があるのでしょう。