第150回 虚血性心疾患と治療薬

2012年03月01日

成田記念病院 循環器科医長 吉俣 隆行 第150回 H15.5.26

 虚血とは心臓が酸素不足になることで、虚血性心疾患には狭心症、心筋梗塞といった病気があります。
 心臓がしっかり働くためには、冠動脈から十分に酸素が心臓の筋肉に行き渡らなければなりません。その場合冠動脈という血管が粥状硬化(冠動脈の中にかすがたまること)を起こし、血管の中が細くなり、心臓の筋肉への血液の流れや、酸素の供給に障害が起きると、狭心症となり、さらに冠動脈が血栓(血の塊)によって塞がると、血液も酸素も行かなくなり、心筋梗塞になります。
 その原因としては、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙、肥満、家族歴などで、こうした要因があればあるほど死に至る危険が高くなります。
 予防としては高血圧の人は血圧を下げる治療を受けたり、血糖をコントロールする、たばこは吸わない、肥満の人は減量し、コレステロールの高い人は正常値にすることなどです。
 虚血性心疾患の治療は、血液の流れを良くして血栓を作らないようにする、冠動脈のれん縮(血管が縮むこと)、粥状硬化を予防する–ことに主眼をおいて行われます。
 治療に用いる薬は、血の塊を抑える薬、冠動脈を広げて血液の流れを良くする薬、血圧を下げたり、血管のれん縮を防ぐ薬、コレステロールを下げ、粥状硬化を防ぐ薬、心臓の働きを抑える薬などです。

成田記念病院季刊誌「おだいじに」No.46より